8月26日からバルセロナ(スペイン)で開催された欧州心臓病学会(ESC)において、COMPASS試験の結果が報告された。冠動脈疾患例において、アスピリンとリバーロキサバン併用の有用性を、アスピリン単剤と比較したランダム化試験である。併用群では心血管系イベントが抑制された反面、大出血が増加していた。その結果、「心血管系イベント+大出血」の発現率は2年間弱で、リバーロキサバン併用群:7.2%、アスピリン単剤群:7.3%という結果になった。27日のホットライン・セッションにて、マクマスター大学(カナダ)のJohn Eikelboom氏が報告した。
本試験の対象は、動脈硬化性イベントリスクが高く、出血リスクの低い安定冠動脈疾患2万7395例である。「アスピリン100mg/日単剤」群と「アスピリン100mg/日+リバーロキサバン2.5mg×2/日」群、「リバーロキサバン単剤」群にランダム化された。
その結果、早期にリバーロキサバン併用群の優位が明らかになったため、平均23カ月間追跡時点で中止となった(以下、リバーロキサバン単剤群は割愛)。
有効性1次評価項目である、脳心血管系イベント(心血管系死亡・心筋梗塞・脳卒中)の発生率は、リバーロキサバン併用群:4.1%、アスピリン単剤群:5.4%となった(HR:0.76、95%CI:0.66-0.86)。
一方、安全性の主要評価項目である「大出血」*は、リバーロキサバン併用群:3.1%、アスピリン単剤群:1.9%であり、リバーロキサバン併用群で有意に増加していた(HR:1.70、95%CI:1.40-2.05)。
これら「脳心血管系イベント」と「大出血」の発生率を合わせると、リバーロキサバン併用群で7.2%、アスピリン単剤群は7.3%と、同等となった。
ただしEikelboom氏らの解析では、「総合的有用性」の指標は「1次評価項目」と「致死的大出血・腫瘍臓器への症候性出血」とされている。これらを合わせた発生率は、リバーロキサバン併用群で4.7%となり、アスピリン単剤群の5.9%に比べ有意に低値となっていた(HR:0.80、95%CI:0.70-0.91)。
本試験はバイエル社の資金提供を受け行われた。また発表と同時に、NEJM誌ウェブサイトで公開された。
*ISTH基準大出血(致死的出血、重要臓器における出血、ヘモグロビン値20g/L以上の低下をもたらす出血、2単位以上の輸血を要する出血)、ないしは入院・救急受診を必要とした出血。