株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【欧州心臓病学会(ESC)速報】アスピリン服用安定冠動脈疾患例への低用量リバーロキサバン追加で、心血管系イベント有意減少も、大出血は有意増加:COMPASS試験

登録日: 2017-08-30

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

8月26日からバルセロナ(スペイン)で開催された欧州心臓病学会(ESC)において、COMPASS試験の結果が報告された。冠動脈疾患例において、アスピリンとリバーロキサバン併用の有用性を、アスピリン単剤と比較したランダム化試験である。併用群では心血管系イベントが抑制された反面、大出血が増加していた。その結果、「心血管系イベント+大出血」の発現率は2年間弱で、リバーロキサバン併用群:7.2%、アスピリン単剤群:7.3%という結果になった。27日のホットライン・セッションにて、マクマスター大学(カナダ)のJohn Eikelboom氏が報告した。

■有効性の1次評価項目は「脳心血管系イベント」、安全性では「大出血」が主要評価項目

本試験の対象は、動脈硬化性イベントリスクが高く、出血リスクの低い安定冠動脈疾患2万7395例である。「アスピリン100mg/日単剤」群と「アスピリン100mg/日+リバーロキサバン2.5mg×2/日」群、「リバーロキサバン単剤」群にランダム化された。

その結果、早期にリバーロキサバン併用群の優位が明らかになったため、平均23カ月間追跡時点で中止となった(以下、リバーロキサバン単剤群は割愛)。

有効性1次評価項目である、脳心血管系イベント(心血管系死亡・心筋梗塞・脳卒中)の発生率は、リバーロキサバン併用群:4.1%、アスピリン単剤群:5.4%となった(HR:0.76、95%CI:0.66-0.86)。

一方、安全性の主要評価項目である「大出血」*は、リバーロキサバン併用群:3.1%、アスピリン単剤群:1.9%であり、リバーロキサバン併用群で有意に増加していた(HR:1.70、95%CI:1.40-2.05)。

これら「脳心血管系イベント」と「大出血」の発生率を合わせると、リバーロキサバン併用群で7.2%、アスピリン単剤群は7.3%と、同等となった。

ただしEikelboom氏らの解析では、「総合的有用性」の指標は「1次評価項目」と「致死的大出血・腫瘍臓器への症候性出血」とされている。これらを合わせた発生率は、リバーロキサバン併用群で4.7%となり、アスピリン単剤群の5.9%に比べ有意に低値となっていた(HR:0.80、95%CI:0.70-0.91)。

本試験はバイエル社の資金提供を受け行われた。また発表と同時に、NEJM誌ウェブサイトで公開された。

*ISTH基準大出血(致死的出血、重要臓器における出血、ヘモグロビン値20g/L以上の低下をもたらす出血、2単位以上の輸血を要する出血)、ないしは入院・救急受診を必要とした出血。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top