鳥インフルエンザが発生して鶏の殺処分を行う場合,作業員の血圧測定を行い,高い場合は「作業に不適」として作業させない規定となっている自治体が多いようです。通常の作業では血圧測定等は行っておらず,測定の意味がよくわかりません。冬の寒い日や,感染性のある鶏の殺処分で緊張が高ければ血圧が上昇するのは当然です。殺処分に従事する作業員は自治体職員がほとんどで,健康診断受診率も100%に近く,問診等での既往や体調確認で十分ではないでしょうか。血圧測定の根拠をご教示下さい。
(千葉県 M)
結論から申し上げれば,殺処分従事に当たっての血圧測定の必要性は少ないと考えられます。宮崎県は全国有数の鶏肉および鶏卵の出荷量を誇り,養鶏場等が多数あることから,2016年も養鶏場で鳥インフルエンザが発生し,これまで多くの事例を経験しており,筆者自身もその対応に当たりました1)。
宮崎県において初めて鳥インフルエンザ対応を行った2007年1月以降,しばらくの間(2010年度まで)は従事者に血圧測定を実施していた時期がありましたが,現在は感染防止の観点に特化した調査としており,血圧測定は実施していません2)。
鳥インフルエンザは,12月から2月の寒冷時期に発生し,また鶏の殺処分は夕刻から朝までの作業になることも多く,作業従事者は,事務職等を中心とした一般職員であることから,作業に不慣れな職員がほとんどであり,精神的にも肉体的にも負担の大きいものになります。このため作業事故を少なくする観点から,健康診断の意味づけで当初は血圧測定を実施したものと推察します。しかしながら,これまでの作業を通して,脳血管障害や心血管障害等の作業事故の発生はみられず,また県職員も経験を積むことにより作業に熟練してきたこと等もあり,現在では感染防止に特化した健康調査になりました。
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