【質問者】
濵砂良一 産業医科大学医学部泌尿器科学講座准教授
HPVは,子宮頸癌を引き起こす高リスク型と,尖圭コンジローマの原因となる低リスク型に分類されます。高リスク型HPVは約15種類同定されており,代表的なものには16型と18型があります。一方,低リスク型HPVのうち尖圭コンジローマの原因となるウイルスは6型と11型が知られています。
子宮頸癌以外には,口腔癌,咽頭癌,肛門癌などの発がんと関連があることが報告されるようになり,ヒトのがんの約10%がHPV感染に関連している可能性が示唆されています。泌尿器科領域においては,HPV感染と最も関連するのは陰茎癌ですが,その罹患率はきわめて低く,あまり重要視されてきませんでした。
近年,陰茎癌におけるHPV検出率に関する大規模な研究が報告されはじめ,25カ国からの1010例の陰茎癌パラフィン切片におけるHPV検出率は33.1%と報告されています1)。また,2009年のsystematic reviewによると,30編の論文の計1266例におけるHPV検出率は47.9%と報告されています2)。私たちの検討でも,陰茎癌症例の41%でHPV-DNAが陽性で,そのすべてが高リスク型HPVでした3)。陰茎癌の半数弱はHPV感染が関連していると思われます。
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