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クローン病の腸管狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術(EBD)【狭窄の状態,疾患の活動性,残存小腸の長さなどを考慮】

No.4882 (2017年11月18日発行) P.54

高橋憲一郎 (滋賀医科大学消化器内科)

安藤 朗 (滋賀医科大学消化器内科教授)

登録日: 2017-11-21

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クローン病(CD)は難治性の炎症性腸疾患であり,長期経過例でしばしば腸管狭窄をきたす。CDの腸管狭窄に対しては,腸管切除術や狭窄形成術が行われてきた。しかし,狭窄の再発によって手術を繰り返すことで,最終的に短腸症候群に至る。このようなCDの腸管狭窄に対して内視鏡的バルーン拡張術(EBD)が施行されるようになり,外科手術を回避できる症例が報告されるようになっている。厚生労働省の「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)による平成28年度改訂版のCD治療指針において,腸管狭窄の治療に関しては,内科的治療で炎症を鎮静化し,潰瘍が消失・縮小した時点でEBDを試みてもよい,とされている。

EBDの長期的な成績については報告が少ないため,EBDによって長期的に小腸切除が回避可能かどうかについては明確になっていないのが現状である。当科でEBDが行われたCD 69例の解析では,5年累積手術回避率が82.6%と良好な成績であった1)。このことから,CDの腸管狭窄に対するEBDは長期的にも良好な経過が期待できると考えられる。しかし,これらの症例では繰り返しEBDを施行する必要性があることが多いことが指摘されている。これらのことから,CDの腸管狭窄に対する治療については,狭窄の状態,疾患の活動性,残存小腸の長さなどを考慮し,手術かEBDかを選択すべきと考えられる1)2)

【文献】

1) Tsujikawa T, et al:Endoscopy. 2008;40(1):11-5.

2) Hirai F:Intest Res. 2017;15(2):166-73.

【解説】

高橋憲一郎*1,安藤 朗*2  *1滋賀医科大学消化器内科 *2同教授

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