【質問者】
門田淳一 大分大学医学部呼吸器・感染症内科学講座 教授
肺炎球菌は,市中肺炎の最大原因菌で特に高齢者肺炎に多く,インフルエンザ流行時や災害時にさらに猛威を振るいますが,100種類近い莢膜血清型中,約30の血清型がヒト病原性を示すとされています。わが国の65歳以上の高齢者の肺炎予防では,1988年承認のPPSV23と,2014年承認のPCV13の2つを用いることが可能ですが,PPSV23は,2014年から65歳以上高齢者でB類疾病用ワクチンとして定期接種が始まりました。
PCV13は初回接種後にT細胞を介する免疫記憶が成立し,免疫は強く持続するものの13の血清型のカバーにとどまるのに対し,PPSV23は23の血清型をカバーしながらも免疫抗体価の低下が経年的にみられ,通常5年経過後に再接種を検討することが勧められています。いずれのワクチンでも肺炎予防や安全性に関するエビデンスが数多くあり,PPSV23の再接種や3,4回目接種の有効性と安全性も確認されています。問題は使いわけです。
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