株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

術前評価としての高齢者総合的機能評価(CGA)【術後アウトカム予測に応用し,手術適応の決定や術後予後予測に応用】

No.4891 (2018年01月20日発行) P.51

杉本 研 (大阪大学老年・総合内科講師)

登録日: 2018-01-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

高齢者は若年者と比較し,術後合併症や死亡などのリスクが高いため,外科治療によるリスクとベネフィットをできるだけ正確に評価することが求められる。老年医学領域では,高齢者の個人差,多様性をとらえる方法として高齢者総合的機能評価(comprehensive geriatric assessment:CGA)が広く用いられている。近年,CGAが高齢者の術後アウトカム予測に応用されるようになった。

以下,大阪大学医学部附属病院における成績を紹介する。75歳以上の消化器癌の手術適応のある患者を対象に,術前のCGAの各指標と術後合併症や予後との関係について検討したところ,認知機能検査(MMSE)とうつスコア(GDS),手段的ADLが,従来の術前評価法と独立して術後せん妄と関連し1),食道癌患者に限定した解析でもMMSEとGDSが術後せん妄の予測に有用であった2)。CGAの5項目のうち4項目以上が基準値以下である場合を高リスク群と定義したところ,高リスク群は,基準値以下が3項目未満の群と比較し予後が悪く,原疾患以外での死亡と関連していた3)。これらの成果は,最終的な手術適応の決定や術後予後予測に応用されている。

【文献】

1) Maekawa Y, et al:Geriatr Gerontol Int. 2016;16 (9):1036-42.

2) Yamamoto M, et al:World J Surg. 2016;40(11): 2705-12.

3) 山崎 誠:フレイルハンドブック ポケット版. 荒井秀典, 編. ライフ・サイエンス, 2016, p82-3.

【解説】

杉本 研 大阪大学老年・総合内科講師

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top