厚生労働省は30日、今国会に提出予定の健康増進法改正案の骨子となる「基本的考え方」を公表した。「望まない受動喫煙」防止に向けた規制を2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに段階的に施行する方針。
「基本的考え方」では、医療施設については精神科病院やホスピスを含め「敷地内禁煙」とする一方で、受動喫煙防止措置が取られた屋外に喫煙場所を設置することは可能とした。老人福祉施設は「屋内原則禁煙」としつつ、喫煙専用室の設置を認める。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や介護医療院への規制適用については今後検討する。
飲食店は「屋内原則禁煙(喫煙専用室設置可)」とするが、面積が一定規模以下で、中小企業や個人が運営する既存の店舗では、「喫煙」「分煙」の標識を掲示すれば喫煙が可能。ただし、20歳未満の者は客・従業員とも立入禁止とする。「一定規模」の基準については、法案提出までに自民党と調整する。
加熱式たばこについては、「(加熱式たばこの)煙にニコチン等の有害物質が含まれていることは明らかである一方、現時点の科学的知見では受動喫煙による健康影響が明らかでない」(厚労省)として、規制の対象としつつ、当分の間、喫煙専用室または飲食可能な加熱式たばこ専用の喫煙室内で喫煙を認める。
新たな強化案について厚労省は、「理想としては分煙ではなく禁煙だが、現状を考えると禁煙の法律を作っても到底国会では可決・成立が見込めない。まずは一歩踏み出していこうというもの」との認識を示した。