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小児の甲状腺機能亢進症の薬物治療【改訂ガイドラインでプロピルチオウラシル(PTU)とメチマゾール(MMI)の投与法を変更】

No.4893 (2018年02月03日発行) P.54

田中敏章 (たなか成長クリニック院長)

南谷幹史 (帝京大学ちば総合医療センター小児科病院 教授)

登録日: 2018-02-02

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  • 小児の甲状腺機能亢進症の治療ガイドラインが改訂(「小児期発症バセドウ病診療のガイドライン2016」)されましたが,小児甲状腺機能亢進症の薬物治療における薬物の選択,治療量についてのrecommendationに関して,ガイドラインの作成責任者である帝京大学ちば総合医療センター・南谷幹史先生に,ご教示をお願いします。

    【質問者】

    田中敏章 たなか成長クリニック院長


    【回答】

    2016年,「小児期発症バセドウ病診療のガイドライン」を8年ぶりに改訂しました1)。主な変更点は,①プロピルチオウラシル(propylthiouracil:PTU)は慎重に投与すること,②メチマゾール(methimazole:MMI)はより少量で使用すること,③長期のMMI治療を推奨したことです。

    わが国で使用可能な抗甲状腺薬は,PTUとMMIです。PTUでの治療はMMIによる治療に比べて,低用量では治療効果が弱く,高用量では副作用発現率が高くなると報告されています。また,PTUは重症肝障害やmyeloperoxidase anti-neutrophil cytoplasmic antibody(MPO-ANCA)関連血管炎症候群などの重篤な副作用の発現率が高いため,米国では小児にはPTUの使用を控えることになりました。PTU服用中のMPO-ANCA陽性率は64%で,うち20%が発症しています。MMIの重篤な副作用は無顆粒球症であり,頻度は0.35%で,投与量20mg/日以上でリスクが高まります。妊娠第1三半期にMMIを投与された妊婦の新生児では,MMI embryopathy(頭皮欠損,臍帯ヘルニア,臍腸管遺残,気管食道瘻,食道閉鎖症,後鼻孔閉鎖症など)を発症するリスクが高まります。

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