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進行食道癌に対する術前補助療法【術前CF療法に対する,術前DCF療法と術前CF化学放射線療法の優越性を検証】

No.4894 (2018年02月10日発行) P.51

小熊潤也 (東海大学消化器外科准教授)

小澤壯治 (東海大学消化器外科教授)

登録日: 2018-02-09

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わが国の臨床試験であるJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)9907試験の結果から1),現在の臨床病期Ⅱ,Ⅲ食道癌に対する標準治療は術前補助化学療法(シスプラチン+5-FU:CF療法)+根治手術である。しかし本試験のサブグループ解析で,術前CF療法のcT1-2での5年生存割合は79%と良好であったのに対し,cT3では47%と不良で,より進行した症例に対する効果は不十分な結果であったため,より強力な術前治療が望まれている。

一方,欧米では手術単独での治療成績がわが国に比べ劣る背景から,術前化学放射線療法が広く行われている。わが国においても,術後の郭清範囲内の再発が少なくないことから同療法を支持する施設もある。さらに,近年では進行食道癌に対し,より強力な化学療法のレジメンのDCF療法(ドセタキセル+CF療法)を施行した報告が増えてきており,その高い奏効割合が注目されている。

食道癌に対する術前補助療法に関するこうした背景から,標準治療である術前CF療法に対する,術前DCF療法と術前CF化学放射線療法の優越性を検証するための第3相比較試験(JCOG1109試験)が現在進行中である。術前化学放射線療法では術後の再発に対して十分な放射線治療ができないこと,DCF療法は高率に発熱性好中球減少症をきたすこと,などの問題点もあるが,この臨床試験の結果により,切除可能な進行食道癌に対する最適な治療法についての1つのエビデンスが確立することになる。

【文献】

1) Ando N, et al:Ann Surg Oncol. 2012;19(1):68-74.

【解説】

小熊潤也*1,小澤壯治*2  *1東海大学消化器外科准教授 *2同教授

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