東京都医師会の尾﨑治夫会長は2日の会見で、東京都が条例化を目指している受動喫煙防止対策について、加熱式たばこと紙巻きたばこの規制を同様にすべきとの考えを明らかにした。都医はこうした厳しい対策を盛り込んだ条例の成立に向け、今月末にも署名活動を開始し、6月の都議会に提出する方針。
受動喫煙対策の強化を巡っては、厚生労働省が1月に健康増進法改正案の骨子を公表。都は、規制の区分などについて法案との整合性をとる必要があるとして、2月に予定していた都議会への条例提出を先送りした。
早ければ今月にも閣議決定が見込まれている法案では、医療施設や小・中学校、高校での屋外喫煙場所の設置を認め、100㎡以下の既存の飲食店は規制の対象外としている。加熱式たばこについては、加熱式たばこ専用喫煙室(飲食可)での喫煙を認めている。
尾﨑氏は会見で、「受動喫煙の健康被害を防ぐための施策という原点に返って考える必要がある」と指摘。「分煙や喫煙室設置では受動喫煙を100%防ぐことはできないため、公共的で閉鎖的な空間は全面禁煙にするしかない」と強調した上で、法案を踏まえ、「都でしっかりとした条例をつくっていきたい」との考えを示した。具体的には、①医療機関や小・中学校、高校では屋外喫煙場所の設置を認めない、②飲食店への規制は、バーやスナックを含め、例外を設けない、③加熱式たばこは、健康被害がないというエビデンスが蓄積されるまで紙巻きたばこと同じ規制をかける―と列挙。③の加熱式たばこについては、「紙巻きたばこと同程度のニコチンが含まれている加熱式たばこも存在する。規制緩和は、受動喫煙の害がないと分かった段階で実施すべき」として、エビデンスが不足しているという理由から紙巻きたばこよりも規制を緩めている法案を問題視している。