以前,わが国では視覚障害の原因として糖尿病網膜症が一番多かったが,現在では緑内障についで2番目である
糖尿病による視覚障害の主因は糖尿病網膜症だが,他の眼合併症が存在していることも多く,他の眼合併症の治療により,視覚障害の程度を少しでも軽くできる場合がある
糖尿病網膜症により視覚障害になっている患者には全身的,視機能的に特徴があり,それらの特徴をふまえてロービジョンケアを行うことが重要である。特に,糖尿病,うつ病と糖尿病網膜症による視覚障害の関連について理解しておくことが必要である
糖尿病網膜症による視覚障害のロービジョンケアへのきっかけには,眼科医のみならず視能訓練士,眼科病棟看護師,糖尿病を管理する内科医等の役割が大きい
ロービジョンケアは視覚障害リハビリテーションと言い換えることができ,以前は失明者に対するリハビリテーションと考えられていた。しかし現在,視覚障害者は何らかの残存視機能を有する場合が多く,ロービジョン者に対するリハビリテーションとは,現存している視機能を最大限に活用して不自由を減少させることが主となっている。その一方,ロービジョン者と失明者とを区別して考えるという考え方もあるが,多くの医療関係者は,そのアプローチ方法の違いこそあれ,特に区別する必要はないと考えている。
ロービジョン外来では,初めに視機能の正しい評価や眼科的な診察を行った上で,視覚的補助具の評価・選定,日常生活に関する助言,福祉サービスに対する相談,カウンセリング,患者団体や支援団体の紹介などを行っており,2014年より,一定の施設基準を満たしている医療施設にロービジョン検査判断料が認められるようになった。ロービジョン検査判断料が認められた意義は大きく,より多くの施設でロービジョンケアが行われることが期待されている。しかし,残念なことに届け出施設の数は十分ではなく,いまだ該当施設がない県もあり,ロービジョンケアの地域格差があることが問題の1つとなっている。
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