2型糖尿病はインスリン分泌能低下の遺伝素因を背景に,エネルギー過剰の生活習慣に起因する肥満・内臓脂肪蓄積からインスリン抵抗性が生じ,相対的なインスリン作用不足となった結果として発症する。
HbA1c≧6.1%または空腹時血糖≧110mg/dLであれば,75g経口ブドウ糖負荷試験を行い,空腹時血糖≧126mg/dLまたは負荷後2時間値≧200mg/dLかつHbA1c≧6.5%ならば糖尿病と診断する。
専門施設で多くの薬剤が使用できる場合,年齢,肥満の有無,腎機能低下(eGFR<60mL/分/1.73m2)や心機能低下(BNP≧35pg/mL)の有無で場合わけをして処方を組み立てる。
肥満者(BMI≧25)で心・腎機能正常ならビグアナイド薬,次はSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬を投与する。
非肥満でインスリン分泌能低下が主体の場合はDPP-4阻害薬,次に速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬),少量のSU薬,ビグアナイド薬,SGLT2阻害薬のいずれかを追加する。これらの薬剤でも管理困難であれば持効型インスリンを就寝前4単位から開始し,空腹時血糖値を指標に適宜増量する。
非高齢者において,血管合併症を防ぐための目標値はHbA1c<7.0%である。
高齢者では,認知機能障害が軽度あるいは基本的ADLが自立している場合はHbA1c<7.0%,中程度以上の認知症や基本的ADLの低下,多くの併存疾患や機能障害が存在する場合はHbA1c<8.0%とする。重症低血糖が危惧される薬剤(インスリン製剤,SU薬,グリニド薬)使用時には下限を設ける。