新たなリウマチ対策を検討するため、厚生労働省は26日、厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会(委員長=宮坂信之東京医歯大名誉教授)の初会合を開いた。委員会は①医療の提供等、②情報提供・相談体制、③研究開発等の推進─について検討し、7月に報告書を取りまとめる予定。
厚労省のリウマチ対策は、同省の委員会が2011年にまとめた報告書に基づき行われてきたが、近年の医療水準の向上や社会背景の変化等を踏まえ、より効果的な対策を検討するため、厚労省は新たに委員会を設置した。
同日の委員会では、リウマチ対策の現状と課題が委員から報告された。山中寿委員(東京女子医大所長)は、関節リウマチの罹患率は人口の0.6~1.0%、患者数は60万~100万人と推定されることを示した上で、医療の現状について、「薬物治療は進歩・一般化し、それにより疾患活動性は制御でき、手術例も減少した」と指摘。一方で問題点として「治療不応の患者が存在」「既存の合併病態により治療できない患者が存在」「治療中に生じる合併症の予防と対策」「医療費の増大(生物学的製剤の適正使用、減量中止の可能性など、薬剤経済学的検討の必要性)」を列挙した。医療提供体制に関しては、日本リウマチ学会専門医の地域偏在を問題視した。
森雅亮委員(東京医歯大教授)は小児リウマチ性疾患のうち、発症10年以内にドラッグフリー寛解に至るのは3割程度にとどまり、成人以降も医療の継続が必要な症例が多いと指摘。その上で、小児期から成人移行期にわたるリウマチ性疾患を小児科、成人科という垣根を超えたシームレスな形で長期間観察しうる仕組みを構築することを今後の課題に挙げた。