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直腸脱に対する直腸固定術【最も再発率が低い経腹的術式。低侵襲で根治性の高い腹腔鏡下直腸固定術が急速に普及】

No.4905 (2018年04月28日発行) P.51

丹羽浩一郎 (順天堂大学下部消化管外科)

坂本一博 (順天堂大学下部消化管外科教授)

登録日: 2018-04-27

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直腸脱は直腸肛門疾患の臨床においてしばしば遭遇する疾患で,良性疾患ではあるが,日常生活において患者のQOLを著しく低下させる。そのため早急な治療が必要である。治療は外科的治療が原則であり,大きく経肛門的術式と経腹的術式の2つにわけられる。しかし,数多くの術式があり,標準術式は定まっていない。

経肛門的術式は腰椎麻酔や局所麻酔で行うため,経腹的術式と比べて低侵襲であり,Gant─三輪法,Thiersch法,Delorme法などがある。しかし,再発率が高い点が問題である。そのため,全身麻酔が可能な症例においては,根治性の観点から経腹的術式が有効とされる。

経腹的術式の中でも,直腸固定術は最も再発率が低いとされている1)。直腸の固定法は,メッシュを用いた前方固定,後方固定,腹側固定や,メッシュを用いない縫合固定など,複数の固定法が存在する。また近年,開腹手術と比較して低侵襲であることから,腹腔鏡下直腸固定術が行われるようになり,2012年には保険収載され急速に普及してきている。しかし,直腸固定術は経肛門的術式と比較すると合併症が多く,特に術後の便秘が問題となる。そのため,術後の排便コントロールと排便指導は重要である。

腹腔鏡下直腸固定術は低侵襲で根治性の高い術式と考えられる。今後,長期成績が報告され,直腸固定術の標準術式が確立されることが望まれる。

【文献】

1) 山名哲郎, 他:手術. 2015;69(4):485-90.

【解説】

丹羽浩一郎*1,坂本一博*2  *1順天堂大学下部消化管外科 *2同教授

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