監修: | 弘世貴久(東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授) |
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編集: | 内野 泰(東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野 准教授) |
編集: | 熊代尚記(東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野 准教授) |
判型: | A5判 |
頁数: | 304頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2019年04月13日 |
ISBN: | 978-4-7849-5408-7 |
版数: | 第3版 |
付録: | - |
1章 HbA1Cから考える治療法
2章 年代から考える治療法
3章 職業から考える治療法(運動不足・肉体労働・不規則な生活など)
4章 糖尿病合併症から考える治療法
5章 併発症から考える治療法
6章 薬剤を整理したい(このケースならこう変えられる)
7章 特殊な糖尿病
8章 その他のケース
9章 一人医長:総合診療の視点
10章 開業・クリニックの視点
1章 HbA1cから考える治療法
1 patient-centered approach 治療
2 超高齢者,どこにHbA1cの目標を置くべきか
3 HbA1cが変動するが,理由不明
4 肝硬変,貧血を合併した糖尿病
2章 年代から考える治療法
1 高校生,大学生
2 40-60代 単身赴任
3 高齢:減量はよいが,サルコペニアが心配
4 認知症はここを見てこうする
3章 職業から考える治療法(運動不足・肉体労働・不規則な生活など)
1 接待の多いビジネスマン
2 建設現場・肉体労働者
3 交代勤務:夜勤あり
4 座ったままほとんど動かない頭脳労働者
4章 糖尿病合併症から考える治療法
1 進行していく腎障害例
2 しびれる,眠れない,気分が滅入る…
3 妊婦。血糖をコントロールしているのに,網膜症が…
4 足病変を見つけるコツと合併例の方針
5 高齢者の頻回に繰り返す低血糖昏睡
6 眼が見えない。視力低下あり
5章 併発症から考える治療法
1 感染症が慢性化。手に負えない…
2 ステロイドをやめられない
3 肝機能異常と糖尿病
4 まれな血糖値を左右する要因とは
5 知的障害を伴うPrader-Willi症候群
6 統合失調症,双極性障害,抗精神病薬
7 リウマチ,変形性関節症,運動器障害
8 担癌患者の糖尿病(肝腎心機能)
9 新規抗がん剤による有害事象例
6章 薬剤を整理したい(このケースならこう変えられる)
1 副作用のためα-GI,DPP-4阻害剤が使えない軽度糖尿病患者
2 SU薬一本やりで10年。もっとモダンな治療を
3 DPP-4阻害薬の切れ味が悪い
4 メトホルミン不発,次は,その次は
5 注射療法のstep-down
6 注射療法のstep-up
7 前立腺癌,急性心筋梗塞,心不全を合併した糖尿病
8 二相性インスリンアナログ製剤に経口血糖降下薬をプラス
9 最適な注射インクレチン製剤活用法
7章 特殊な糖尿病
1 LADA(緩徐進行1型糖尿病:SPIDDM)
2 MODY
3 妊娠糖尿病
4 小児の2型糖尿病
5 生命の危険を生じる不安定型糖尿病
6 ketosis-prone diabetes (ペットボトルケトーシス)
8章 その他のケース
1 経済的に苦しい…
2 インスリンは絶対イヤと言い張る
3 運動ができない・したくない
4 糖質制限希望
5 1人暮らしで自己管理できない
6 不妊治療
7 インスリンを100単位使ってもよくならない
8 病的肥満・極度肥満合併
9章 一人医長:総合診療の視点
1 このような初期症状は感染症リスク(糖尿病治療上の注意点)
2 この治療法には,この「問診」をしてから
3 糖尿病の病型は,この「問診」をしてから
4 手術前の上手な薬剤選択
5 このような手術後には,このような治療法
10章 開業・クリニックの視点
1 病診連携で病院から紹介を受けるクリニックがやるべきことは?
2 産業医から紹介されるクリニックは
3 糖尿病治療に使える社会資源(行政,栄養指導)
4 糖尿病治おけるコストパフォーマンス
5 査定されやすい糖尿病保険診療,回避方法
第3版発刊にあたって
初版から6年,2版から3年が経ちました。第2版は初版の問題点にかなりメスを入れたおかげで初版を上回る勢いでご愛読いただき,おかげさまで2回目の改訂を日本医事新報社さんから依頼いただくことができました。本当にありがたいことです。
この3年間では前回の巻頭言で取り上げたSGLT2阻害薬の評価が予想以上に急騰し,場合によってはファーストラインの薬剤になるかもしれないような勢いです。さらに3年前はまだまだ市場での勢いがなかったGLP-1受容体作動薬も大きなブームです。大ブレークしたDPP-4阻害薬に比べ元気のなかったGLP-1受容体作動薬ですが,週1回の注射薬が発売されたことにより実臨床での使用範囲が大幅に広がり,そのことがこの薬剤の再評価につながったのは間違いないでしょう。もちろんSGLT2阻害薬同様,心血管系疾患を抑制したLEADER試験の結果の影響もあると思われます。今や欧米のガイドラインでは,経口薬効果不十分の2型糖尿病患者において,インスリンよりも先に使用するべき注射製剤とまで示されています。
これら2剤の台頭に加え,高齢者の血糖コントロール目標が細分化されたことなども踏まえて,薬物療法の考え方はこの第3版ではかなり変化しています。ぜひともこの最新版『糖尿病治療薬最新メソッド』を手に取っていただき,日々の患者さんの糖尿病薬物治療にお役立ていただけますと幸いです。
2019年2月
東邦大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野 弘世貴久