編著: | 山田 悟(北里大学北里研究所病院 副院長・糖尿病センター長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 168頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2022年01月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-4428-6 |
版数: | 第3 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)。 |
Q1 「緩やかな」糖質制限食はどんな三大栄養素比率になるのか?
Q2 糖質制限食ではエネルギーオーバーにならないか?
Q3 糖質制限食では脂質を増やすのか、タンパク質を増やすのか?
Q4 北里研究所病院における糖質制限とは?
Q5 病院食への導入方法は?
Q6 糖質制限の指導が困難な症例とは?
Q7 シックデイ時の対処方法は?
Q8 糖質制限時の運動療法は?
Q9 定時に生じる低血糖への対処方法は?
Q10 1食40gの糖質とはどのくらいか?
Q11 内臓脂肪を減らすにはどうしたらよいか?
Q12 HbA1cや血糖値が正常に戻ったら、糖質を摂ってもよいか?
Q13 糖質は太る原因となるのか?
Q14 肉が好きな場合、タンパク質として肉ばかり食べてもよいか?
Q15 食べる時間はいつでもよいか?
Q16 いくら食べてもよいか?
Q17 食事の回数は3回でないとならないのか?
Q18 便秘になってしまうが、どうしたらよいか?
Q19 LDL-コレステロールが高い場合はどうしたらよいか?
Q20 「糖質が少ない」と勘違いしやすい食材は何か?
資料
糖質制限食の献立例
食品の糖質量一覧
2014年5月に『「緩やかな糖質制限」ハンドブック』の初版を上梓した頃、 日本では糖質制限食はまだまだ普及していませんでした。米国糖尿病学会ですら、2013年に糖質制限食を完全に認めたばかりという時代だったのです。実際、日本における糖質制限食についての最初の無作為化比較試験を私たちが発表したのが、まさに2014年のことでした(Intern Med 53:13-9、 2014)。日本における糖質制限食導入の時期だったのです。
2018年1月に第2版を上梓した頃には、 日本においても各地で糖質制限食を学びたいという先駆的な医療従事者が立ち上がってくださり、まさに日本全国に糖質制限食が普及しはじめようとしていた時代でした。また、その一方で、様々な糖質制限食の在り方が模索され、一言で糖質制限食と言っても、あちらの医療機関とこちらの医療機関とで言っていることが異なるということがありうる時代でした。実際、日本における糖質制限食についての2本目の無作為化比較試験を順天堂大学のグループが発表したのが2017年のことでしたが、彼らが採用した糖質制限食は明らかに極端なエネルギー制限食にもなっており、 私たちの勧める「緩やかな糖質制限」=私たちの求める「誰もが楽しくて続けたくなる治療法」とは内容が異なっていました(Clin Nutr 36:992-1000、 2017)。糖質制限食の日本人への適応のための暗中模索の時期だったと言えましょう。
そして、今、糖質制限食は完全に普及しました。すでに、多くの商品に「緩やかな糖質制限=ロカボ」に合致することを示すロカボマークが付与され、消費者がロカボマークを見て食品を購入する時代になったのです。逆に、これからはどんな医療従事者も糖質制限食を知らないというわけにはいかなくなったと感じています。
2022年1月、第3版を上梓します。これまでの『「緩やかな糖質制限」ハンドブック』(初版、第2版)が、先駆的な医療従事者が自発的に手に取っていただくための書籍だったとすると、今回の第3版は、善良な医療従事者が患者に求められて糖質制限を指導する際に頼りとしていただくための書籍です。この書籍を通じ、科学的に無意味な制限食を指導されて苦しんできた患者や、そのような患者に寄り添おうとしてやはり悩んできた医療従事者がいずれも解放され、ともに美味しく楽しく食べて健康になれる治療食を享受できるようになることを確信しています。