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実践 ちょいたし漢方 増補版

定価:3,850円
(本体3,500円+税)

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著: 新見正則(帝京大学外科准教授)
判型: B5判
頁数: 160頁
装丁: カラー
発行日: 2015年02月10日
ISBN: 978-4-7849-4466-8
版数: 第1版
付録: -

週刊日本医事新報特集号で好評を博した『実践 ちょいたし漢方』に25項目を加筆して書籍化!

漢方理論は一切出てきません。あくまで西洋医の立ち位置から、治療手段のオプションとして漢方を取り扱います。

€がっちりタイプ、女性、高齢者など患者タイプ別のフローチャート形式で77項目をわかりやすく解説。

漢方は何から手をつければよいかわからない、胡散臭いと思う。そんな先生にこそ読んで頂きたい1冊です。 

目次

漢方とは
01 手術後のイレウス(腹部膨満感)
02 腹部膨満感
03 口内炎
04 胃弱(胃腸虚弱・胃アトニー・胃下垂)
05 胃炎・胃もたれ(胃内停水・胃拡張)
06 胃痛(けいれんを伴う疼痛)
07 胃酸過多(胸やけ・溜飲)
08 悪心・嘔吐
09 二日酔い
10 慢性腸炎・慢性下痢(しぶり腹)
11 慢性腹痛(過敏性腸症候群)
12 食欲不振
13 便秘
14 黄疸・肝炎
15 痔疾患
16 かぜに罹りたくない
17 かぜの初期
18 インフルエンザ
19 気管支炎
20 喘息の併用に
21 ちょっとした咳と痰
22 高血圧
23 動悸(心悸亢進)
24 起立性低血圧(めまい)
25 腎疾患
26 むくみ
27 脳血管障害後遺症(脳溢血・半身不随)
28 糖尿病の口渇
29 糖尿病の神経障害(しびれ)
30 肥満
31 貧血
32 ちょっとした頭痛
33 慢性頭痛(片頭痛)
34 めまい
35 神経痛・しびれ
36 腰痛
37 肩こり(筋肉痛・五十肩)
38 むちうち症
39 打撲・捻挫
40 こむら返り(けいれんを伴う疼痛)
41 ヒステリー様症状(神経質・神経衰弱)
42 気合いが入らない
43 気の巡りが悪い(不安神経症)
44 精神不安・うつ病もどき(ノイローゼ・神経症)
45 神経過敏状態(ノイローゼ・神経症・ヒステリー)
46 認知症の周辺症状(神経症)
47 悪夢(神経衰弱)
48 夜泣き(小児夜泣き)
49 多汗症
50 疲れ・だるさ(疲労倦怠)
51 暑気あたり
52 こじれたら・長引いたら(亜急性期〜慢性期)
53 不眠症
54 病後の体力低下
55 手足・腰の冷え
56 間接リウマチ・関節痛
57 更年期障害もどき(自律神経失調症もどき・血の道症・月経痛)
58 月経不順
59 月経前緊張症
60 乳腺痛(乳腺炎)
61 不妊症・習慣性流産(陰萎)
62 慢性湿疹・皮膚病
63 蕁麻疹
64 かゆみ(皮膚?痒症)
65 癰・?(多発性粉瘤)
66 帯状疱疹後の痛み(神経痛)
67 頻尿
68 排尿痛
69 尿管結石(排尿痛)
70 残尿感
71 膀胱炎(残尿感)
72 インポテンス(陰萎)
73 アレルギー性鼻炎(慢性鼻炎)
74 副鼻腔炎・蓄膿症
75 扁桃炎
76 鼻出血
77 中耳炎

資料
おわりに

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序文

昨年の1月に『週刊日本医事新報』の特集号として漢方の素晴らしさや,使いやすさをご披露しました。その特集号が大変に好評と言うことで,今回書籍化することになりました。大変に光栄なことで,心からうれしく思っています。私が学生の頃は,漢方の授業もなく,臨床で使用している先輩も少なく,漢方に親しむ機会は皆無でした。ところが,それから約30年経過した今は,多くの医師が漢方の存在を知っています。そして大学教育のなかにも組み込まれています。時代の変遷を感じます。

€しかし,私は「医師には比較的認知されたが,患者さんや,一般人にはあまり漢方は認知されていない」と思っていました。ところが,昨年1年間で大手キー局のゴールデンタイムの特別番組に3回も漢方の特集で登場する機会に恵まれました。そして視聴率は相当のものでした。つまり視聴者も漢方に関心があり,それを知っているテレビ局も,視聴者が望むのであれば漢方の特集を一番のビッグタイムに流そうという作戦です。私が思っている以上に,漢方は一般人に期待されています。

€現代西洋医学の進歩は実際に素晴らしいものがあります。しかし,残念ながら完璧ではないのです。そんなときに昔の知恵を使うことは当然の選択肢のひとつです。そして日本では漢方は保険診療ですから,どの診療科の先生も漢方に興味があれば,漢方を使える環境を整えるべきです。そんな本をめざしました。この本を読んで頂く条件は,「漢方に興味がある」ことだけです。

また,漢方は生薬の足し算の叡智にて,極論すればいろいろな病気が治る可能性があります。そんな昔の経験知を,今困っているひとに試してみることは理にかなっています。私の師匠である松田邦夫先生の師匠は,大塚敬節先生です。大塚敬節先生の頻用処方は,大柴胡湯,八味地黄丸,半夏瀉心湯,柴胡桂枝湯でした。名医は上達するほど,処方数が減るそうです。私が患者さんを診るときには,がっちりタイプであれば大柴胡湯,子どもは五苓散または小建中湯,女性は当帰芍薬散,高齢者は真武湯,そして初老期は牛車腎気丸がまず登場します。そして,いろいろな話を伺い,診察をしながら他の選択肢を考えていくのです。そんな漢方処方選択の思考過程の魅力や,不思議さを是非,本書で味わって下さい。そして本書を参考にして,困っている患者さんに漢方という選択肢を提示して下さい。

€20151€

新見正則

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レビュー

【書名】漢方医学の虜になる“しかけ”満載の楽しい1冊

長谷川直樹(慶應義塾大学医学部・病院 感染制御センター教授)
本書は、総合診療医の視点から患者に向き合ってきた外科医師によるユニークな漢方医学入門書である。漢方医学に関する著書には、ともすれば西洋医学を揶揄するきらいがあるが、本書は題名からも想像できるように西洋医学と東洋医学の融合を前提にしている点が興味深い。特に、著者が自らを西洋医と認めた上で、「漢方医学は西洋医学を基本にする医師にとっての趣味」との展開は、大多数派(?)の“西洋医”には受け入れやすい。
一方、病態、病状によっては、「基本となる西洋薬“なし”」と記載されており、漢方の奥義を予感させる。特に、体内で多数の物質が同時にかつ連続的に複雑に相互作用している結果として表出される症候や病状が、特定の作用機序によるピンポイント攻撃ではうまくコントロールされないということは妙に納得させられる。
また、東洋医学は、日常生活を通して体質を変え病を治すという視点に立ち、薬物だけに頼らず、食材、水などを含め総合的に生活を変えることがその本質と言われると、これまた納得である。東洋医学が長年にわたり人々の中に定着し愛用され続けているということこそが、動かぬエビデンスであろう。
目に見えない音波が実際に動物の全身反応である免疫力に影響を与えることを見事に証明し、イグノーベル賞を受賞した著者ならではの鋭い洞察力に基づく、文字を少なくした視覚刺激と随所にちりばめられたスパイスの利いたショートコメントを読んでいると、東洋医学へのワクワク感が生まれ、漢方を使ったことがなくても、知らぬ間に、一度あの患者さんに〇〇番を使ってみたい、と思っている自分に気がつくのでは?
名医として、科学者として、そして溢れんばかりの豊かな人間性を備えた著者がくれた、漢方医学の虜になる素晴らしい“しかけ”満載の楽しい1冊である。ともに学んだ同級生として自信を持ってお薦めする。

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