日本性機能学会と日本泌尿器科学会は今年1月、『ED診療ガイドライン第3版』を刊行した。現在、両学会の公式ウェブサイトでも公開されている。今回の改訂では、クリニカル・クエスチョン(CQ)方式の導入により使い勝手が改善され、泌尿器科医以外の専門医が参画することで、内容の一層の充実が図られた。結果として、旧版に比べ頁数が削減され、簡便化も進んだという。
ED診療ガイドライン(GL)は、2008年に第1版が刊行された。その背景には、1999年、ED(勃起不全)内服治療薬が承認されたのを機に、性機能専門医だけでなく、一般の泌尿器科医や内科医などがED診療を行う機会が増え、非専門医の指針となるGLの作成を求める声の高まりがあった。4年後の2012年に第2版が出版され、今回の第3版は6年ぶりの改訂となる。
EDは、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または(and/or)維持できない状態が持続または(or)再発すること」と定義される。その病因から、器質性、心因性、混合性の3つに分類されるが、ほとんどの症例ではこれらが混在しているため、「器質性が主因」「心因性が主因」などと分類することが推奨されている。
EDの有病率については、研究デザインや方法が異なるさまざまな研究があり、一定の結論は得られていないが、年齢とともに上昇することは明らかだという。すなわち、おおよそ40歳未満が1〜10%、40歳台が2〜15%であり、50歳台は研究によるバラツキが大きく、40歳台と60歳台の間とされ、60歳台は20〜40%、70歳台以上は50〜100%と推定される。また、ED発生率は、欧米人を対象とした研究では4〜66/1000人年と報告され、有病率と同様に加齢に伴って上昇するが、日本人のデータはない。