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全身性硬化症【FVCの低下抑制効果に関しMMFがCYに非劣勢で,安全性では上回るという結果を得た】

No.4918 (2018年07月28日発行) P.55

安岡秀剛 (慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科専任講師)

登録日: 2018-07-26

最終更新日: 2018-07-24

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全身性硬化症(強皮症,SSc)は皮膚および全身諸臓器の過剰な線維化を特徴とする疾患で,微小血管障害,自己抗体産生を伴う。SScでは線維化病変がvital organに生じると,悪性腫瘍に匹敵するほど生命予後は不良である。予後に影響する代表的臓器病変として間質性肺疾患(ILD),肺動脈性肺高血圧症,強皮症腎が挙げられる。

SScの生命予後の改善という観点から,これら臓器病変に対する様々な治療アプローチがこれまで模索されてきた。その中で,最近のトピックスとして,SSc-ILDに対する治療に関する比較的大規模な臨床試験が挙げられる。2006年にNew England Journal of Medicineに報告されたSLS(Scleroderma Lung Study)-Ⅰ試験では,経口シクロホスファミド(CY)またはプラセボを1年間投与し,forced vital capacity(FVC)への影響を比較した。この結果,CYのFVC低下抑制効果が示されたが,CYからプラセボへ切り替えた1年後には得られた効果は消失し,副作用が問題となっていた。

この結果をふまえて,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)2年間投与と,SLS-Ⅰ試験同様に経口CYを投与した2群で,効果および安全性を比較したSLS-Ⅱ試験の結果が,最近Lancetに報告された。MMFは,FVCの低下抑制効果に関してはCYに比し非劣勢で,安全性ではCYよりも良いという結果であった。現在MMFに加え,マルチターゲット療法として抗線維化薬であるピルフェニドンをアドオンした群とプラセボをアドオンした群を比較し,その効果を評価するSLS-Ⅲ試験が進行しており,その結果が期待されている。

【解説】

安岡秀剛 慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科専任講師

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