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膠原病に対する免疫チェックポイント阻害薬の使用について【多彩なirAEが起きうることに注意を払いながらフォローしていくことが必要】

No.4920 (2018年08月11日発行) P.61

倉沢和宏 (獨協医科大学リウマチ・膠原病内科教授)

川畑仁人 (聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・ アレルギー内科教授/部長)

登録日: 2018-08-11

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  • 最近,肺癌など悪性腫瘍に対して免疫チェックポイント阻害薬が使用されるようになっています。その副作用として,皮膚・肺・消化管・内分泌腺などの自己免疫性炎症が報告されています。治療によりコントロールされている関節リウマチなど膠原病患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の使用について(使用可能か,原疾患の悪化の可能性など)教えて下さい。聖マリアンナ医科大学・川畑仁人先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    倉沢和宏 獨協医科大学リウマチ・膠原病内科教授


    【回答】

    第四のがん治療とも呼ばれる免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors:ICI)ですが,その特異な副作用として免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)が知られています。irAEに関するリスク因子についても検討されており,自己免疫疾患の既往はそのひとつと考えられています。そのほか,irAE既往歴もリスクとなっています。

    123例の自己免疫疾患既往歴(関節リウマチが2番目に多く16.3%,最も多い基礎疾患は乾癬で22.8%)のある患者に対するICI投与に関する報告では,原病の再燃,悪化,新規irAEを含めると75%でこれらの副作用が認められたと報告があります。投与時の原病活動性は副作用出現には影響がないとする報告があり,活動性例で67%,非活動性例もしくは安定症例でも75%で認めたとされています。ただ,他の報告では活動性の場合に多いのではないかと指摘するものもあります。一方,投与時の原病に対する治療の有無は影響している可能性が示唆されており,治療例では59%に対し,非治療例では83%で副作用を認めています。ICI開始時の自己免疫疾患治療薬が,一定の予防効果を示している例があると考えられます。

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