【質問者】
倉沢和宏 獨協医科大学リウマチ・膠原病内科教授
第四のがん治療とも呼ばれる免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors:ICI)ですが,その特異な副作用として免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)が知られています。irAEに関するリスク因子についても検討されており,自己免疫疾患の既往はそのひとつと考えられています。そのほか,irAE既往歴もリスクとなっています。
123例の自己免疫疾患既往歴(関節リウマチが2番目に多く16.3%,最も多い基礎疾患は乾癬で22.8%)のある患者に対するICI投与に関する報告では,原病の再燃,悪化,新規irAEを含めると75%でこれらの副作用が認められたと報告があります。投与時の原病活動性は副作用出現には影響がないとする報告があり,活動性例で67%,非活動性例もしくは安定症例でも75%で認めたとされています。ただ,他の報告では活動性の場合に多いのではないかと指摘するものもあります。一方,投与時の原病に対する治療の有無は影響している可能性が示唆されており,治療例では59%に対し,非治療例では83%で副作用を認めています。ICI開始時の自己免疫疾患治療薬が,一定の予防効果を示している例があると考えられます。
残り1,015文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する