慢性咳嗽症例における胸部単純X線写真読影のポイントは, ①肺の大きさ,横隔膜の高さと形 ②気管~気管分岐部~主気管支周り・縦隔 ③心陰影,肋横角~毛髪線 ④肺野 であり,もれなく順番に確認する必要がある
肺の大きさを評価することが,慢性閉塞性肺疾患(COPD)および肺線維症の診断に寄与する
気道病変の評価のため,気管・主気管支周辺にはしっかり目を配る
心陰影や横隔膜など,元々存在する線の「ぼやけ」に注意する
慢性咳嗽症例における呼吸機能検査結果を見る際には,数字だけでなくフローボリューム曲線の形も確認する
「慢性に咳が出る」という訴えの患者を診療するにあたって,胸部画像は必須の検査と言ってよい。特に胸部単純X線写真は,設備のある施設が多くコストも安価であり,数多く撮られている。しかしながら,気軽に数多く撮られている反面,陰影が存在していても見逃される例も散見される。
一方で,呼吸機能検査は,手間に見合った保険点数が得られない,解釈が何となく難しい等の理由から,導入されている施設はそれほど多くないと言われている。しかし,「咳の原因探し」という点において,特に画像検査と併せて評価することで,価値のある検査である。
そこで本稿では,慢性咳嗽がある症例で見逃しがちな,特にここを見るべし,という画像検査・呼吸機能検査における「咳の原因となる所見」を取り上げ,注意すべきポイントを概説する。読者諸兄の咳診療の一助になれば幸いである。