【質問者】
桑平一郎 東海大学医学部内科学系呼吸器内科学教授
【気道と肺胞,それぞれに違った機序で炎症が引き起こされているのかもしれない】
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,気流閉塞によって定義される疾患ですが,この気流閉塞は気腫性病変と気道病変の両者によって成立すると考えられています。胸部CTによって気腫性病変と気道病変を定量的に解析したところ,気腫性病変と気道病変はそれぞれ独立し,相補的に呼吸機能の低下を説明しました。このことは,気腫性病変と気道病変という2つの要素によって,COPDの病態生理が説明できることの証拠のひとつです。これら2つの病変と関連する要因は,遺伝素因,環境因子など多岐にわたると考えられており,わが国では,胸部CTによって気腫性病変が目立つ気腫優位型と,気腫性病変が目立たない非気腫型(気道病変優位型)に分類されてきました。
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