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慢性閉塞性肺疾患(COPD)で,末梢気道病変が目立たず気腫が優位になるタイプがある理由は?

No.4923 (2018年09月01日発行) P.56

桑平一郎 (東海大学医学部内科学系呼吸器内科学教授)

中野恭幸 (滋賀医科大学呼吸器内科教授)

登録日: 2018-08-29

最終更新日: 2018-08-28

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  • 喫煙によって末梢気道に炎症(small airway disease)が生じ,その結果,気管支周囲に気腫性変化が発生すると考えられます。しかし,フェノタイプとして,なぜ末梢気道病変が目立たず気腫が優位になるタイプがあるのでしょうか。
    滋賀医科大学・中野恭幸先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    桑平一郎 東海大学医学部内科学系呼吸器内科学教授


    【回答】

    【気道と肺胞,それぞれに違った機序で炎症が引き起こされているのかもしれない】

    慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,気流閉塞によって定義される疾患ですが,この気流閉塞は気腫性病変と気道病変の両者によって成立すると考えられています。胸部CTによって気腫性病変と気道病変を定量的に解析したところ,気腫性病変と気道病変はそれぞれ独立し,相補的に呼吸機能の低下を説明しました。このことは,気腫性病変と気道病変という2つの要素によって,COPDの病態生理が説明できることの証拠のひとつです。これら2つの病変と関連する要因は,遺伝素因,環境因子など多岐にわたると考えられており,わが国では,胸部CTによって気腫性病変が目立つ気腫優位型と,気腫性病変が目立たない非気腫型(気道病変優位型)に分類されてきました。

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