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(3)支援のための取り組みの実際(大阪母子医療センターを例に)[特集:周産期のメンタルヘルスケア─早期発見と支援]

No.4924 (2018年09月08日発行) P.38

岡本陽子 (大阪府立病院機構大阪母子医療センター産科副部長)

和田聡子 (大阪府立病院機構大阪母子医療センター母性外来師長)

光田信明 (大阪府立病院機構大阪母子医療センター副院長/産科)

登録日: 2018-09-10

最終更新日: 2018-09-05

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産科と精神科を併設する医療施設は少なく,メンタルヘルスに問題を抱える妊産婦に妊娠中~分娩~産褥まで連続して対応できる施設はさらに少ない

メンタルヘルスに問題を抱える妊産婦の支援には多施設・多職種連携が重要である

1. 周産期メンタルヘルスの現状1)

周産期のメンタルヘルスを考える上で,精神科と産科を併設する医療機関は大きな役割を持つ。

大阪府下には産婦人科・精神科医療施設がそれぞれ500施設程度存在するが,その多くは診療所や単科の病院である。大阪府で両科を併設する施設は36施設(2017年現在)あるが,分娩を取り扱っていない,産婦人科や精神科の常勤医師がいない,精神科が入院体制にないなどの理由で,メンタルヘルスに問題を抱える妊産婦を受け入れる体制が十分でない施設も多く,分娩取り扱い施設かつ精神科入院体制にある施設は5施設にとどまる(2017年2月ネット検索)。さらにマンパワーの問題から妊娠中は対応するが分娩後は対応不可能という医療施設もあり,妊娠中から産褥期へ連続してメンタルヘルスに対応することが困難なことも多い。

メンタルヘルスに問題を抱える妊産褥婦は一定数存在し,そのすべてを少ない医療機関で対応するのは不可能である。メンタルの状態に応じて症例ごとに医療機関を振りわけ,重症例は分娩取り扱い施設かつ精神科入院体制にある施設へ紹介し,外来経過観察が可能な軽症例は精神科と産科の医療施設が(施設が同じでなくても)協力して取り扱う,というのが現実的である。

妊産婦に対応可能な施設を増やすだけでなく,産科と精神科の医療機関さらに地域の支援機関を円滑に繋ぐ仕組みが必要である。

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