No.4725 (2014年11月15日発行) P.40
石川 肇 (新潟県立リウマチセンター副院長)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-03-17
指伸筋腱断裂1) は関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)でしばしばみられ,環指,小指に多く伸展不全をきたす。その原因は,伸筋腱腱鞘および関節内滑膜の腱内侵入による腱の脆弱化とともに,背側に亜脱臼した尺骨頭,Lister結節(母指の場合)の機械的摩耗であることが多い(図1)。
複雑な手の変形がみられる場合では,伸展不全の原因が,腱断裂なのかどうか迷うことがある。中手指節間(metacarpophalangeal:MP)関節の掌・尺側亜脱臼や同部での伸筋腱尺側脱臼,稀に後骨間神経麻痺などとの鑑別が必要になることがある。その際,有用となる診断方法が3次元コンピュータ断層撮影(three dimensional computed tomography:3DCT)である。腱断裂の陰性的中度(腱に連続性があるように見えて,実際に腱断裂がなかった割合)は,すべての指伸筋腱で97%以上と高く,陽性的中度(腱に連続性がないように見えて,実際に腱断裂があった割合)は,固有小指伸筋(extensor digiti minimi:EDM)腱,環・小指総指伸筋(extensor digitorum communis:EDC)腱,長母指伸筋(extensor pollicis longus:EPL)腱で60%以上である(図2・3)2)3)。
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