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成人スティル病のサイトカイン阻害

No.4940 (2018年12月29日発行) P.51

金子祐子 (慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科講師)

登録日: 2018-12-28

最終更新日: 2018-12-20

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【全身型若年性特発性関節炎(sJIA)で有効性が証明されているトシリズマブが,成人スティル病にも有効な可能性がある】

成人スティル病は,発熱,皮疹,関節炎を3主徴とする原因不明の炎症性疾患である。通常,ステロイド治療によく反応するが,マクロファージ活性化症候群,播種性血管内凝固症候群や血球貪食症候群をきたして重症化することもある。また,初期治療でいったん改善しても,ステロイド減量中に再増悪し,ステロイド増量を余儀なくされることも多い。

難治例や再燃例では,メトトレキサートやシクロスポリンなどの免疫抑制薬が使用されてきたが,近年サイトカイン阻害薬の効果が注目されている。成人スティル病の小児疾患と考えられている全身型若年性特発性関節炎(sJIA)では,IL-6受容体に対するモノクローナル抗体であるトシリズマブの有効性が証明され,既にわが国で承認されているが1),成人スティル病に対しても医師主導型治験が実施中である。欧州ではIL-1βに対するモノクローナル抗体であるカナキヌマブが,成人スティル病に対して承認されている。わが国ではまだ保険収載に至っていないが,将来的にはサイトカイン阻害薬が治療の主流となる可能性が高い。

サイトカイン阻害によって,ステロイドの必要量,必要期間が縮小できれば,ステロイドの副作用を減らすことが可能となり,治療戦略が大きく変化することが予想される。

【文献】

1) Yokota S, et al:Lancet. 2008;371(9617):998-1006.

【解説】

金子祐子 慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科講師

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