株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

Helicobacter pylori未感染胃癌

No.4945 (2019年02月02日発行) P.50

上山浩也 (順天堂大学消化器内科准教授)

永原章仁 (順天堂大学消化器内科教授)

登録日: 2019-01-30

最終更新日: 2019-01-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【変わりゆく胃癌の臨床像】

近年,ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:H. pylori)の感染率は著明に低下し,H. pylori未感染(一度も感染したことがない)者が増加している。この感染率の低下により,上部消化管の疾患構造が変化する可能性が指摘されている。H. pylori未感染の胃粘膜にがんが発生することは稀であることが世界的なコンセンサスになっているが,今後,H. pylori陰性時代を迎えるとH. pylori未感染胃癌が相対的に増加することが予測できる。

現在までの当院におけるH. pylori未感染胃癌の早期臨床像は,組織学的に腺窩上皮型(ラズベリー様),胃底腺型胃癌(白色調SMT様隆起性病変),胃型腺癌(白色調扁平隆起性病変),腸型形質を伴う腺癌(発赤調陥凹性病変)といった分化型胃癌と,未分化型胃癌(褪色調平坦・陥凹性病変)に分類される。そのほか,遺伝性疾患に発生するがん,胃底腺ポリープ由来のがん,EBV関連胃癌,食道胃接合部癌などが報告され,中には進行がんの症例も報告されている。しかし,遺伝子レベルではH. pylori未感染胃癌の発がん機序は解明されておらず,今後の課題である。

現状ではH. pylori未感染胃癌の頻度は全胃癌の1%未満と稀ではあるが,H. pylori陰性時代の到来により,変わりゆく胃癌の臨床像を的確に把握し,内視鏡診断・治療体系を確立することが急務である。

【解説】

上山浩也*1,永原章仁*2  順天堂大学消化器内科 *1准教授 *2教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top