未だに男性医師の割合が他大学より高めの東大で、女性外科医の草分けとして、胃がんの外科治療に携わってきた。日本外科学会の女性外科医支援委員を務め、女性外科医のキャリア継続支援、地位向上にも取り組む。
「私が医師になった頃は、『外科に女はいらない』と豪語する教授も珍しくなかったのですが、女性だからといってできない手術はないですし、外科医の仕事に性別は関係ありません。男性医師も家事、育児、介護などをこなしながら働けば、医師として患者さんの生活面や社会的背景への理解も深まるはずです。性別を問わず、外科医が仕事と育児や介護を両立できる環境の整備が不可欠です」と語る。
2002年から3年間の留学中は、研究環境が充実しているだけではなく、女性の登用が進む米国社会の洗礼を受けた。「米国では、人材を生かす理念が社会全体に浸透していて、能力や経験がある人を活用しないのは社会の損失と考えます。日本でもそういった考え方が広がらなければ、出産後仕事を辞める女性は減らないし、医師不足も解消しないのではないでしょうか」
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