厚生労働省の「『授乳・離乳の支援ガイド』改定に関する研究会」(座長:五十嵐隆 国立成育医療研究センター理事長)は8日、妊産婦や子供に関わる保健医療従事者向けの「授乳・離乳支援ガイド」の改定案を大筋で了承した。同ガイドの見直しは2007年以来12年ぶり。最新の科学的知見に基づき、食物アレルギー予防に関する記述が充実した。同省は3月中にも完成版を取りまとめ、4月から自治体と医療機関で活用できるように周知する。
改定版ガイドでは、授乳の支援における留意点として、母乳栄養児と混合栄養児の間に肥満発症の差はなく、「育児用(粉)ミルクを少しでも与えると肥満になる」といった表現で養育者に誤解を与えないようにすることを明記。母乳栄養がアレルギー予防において優れているとの見方も否定している。妊娠・授乳中の母親の食事に関しては、子供の食物アレルギーを予防するために特定の食品を避けることの「効果は示されてない」とし、バランスのよい食事の指導を求めている。
離乳の開始時期については現行通り生後5~6カ月を目安とし、食物アレルギーの発症を心配して離乳開始を早めたり遅くすることに「科学的根拠はない」と強調。鶏卵などのアレルギーの原因となりうる食品であっても、あえて摂取を遅らせる必要はないとの見方を示している。
このほか、3月から国内で流通が始まった乳児用液体ミルクについては、ガイド中にコラムを設け、「使用方法等に関する十分な理解がなされていることを前提として、災害時の備えとしての活用が可能」と紹介している。