【質問者】
岩永賢司 近畿大学医学部内科学呼吸器・アレルギー 内科部門准教授
【鼻副鼻腔炎の治療により,喘息コントロールが良好となる】
気管支喘息に,アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎,近年注目されている好酸球性副鼻腔炎が高率に合併することが知られています。
まず,アレルギー性鼻炎との関連ですが,アレルギー性鼻炎は鼻粘膜のⅠ型アレルギーによって起こり,くしゃみ・鼻汁・鼻閉を3主徴とする疾患です。原因や発症時期から,ダニ,ハウスダスト,真菌,ペットのフケなどが原因抗原の通年性アレルギー性鼻炎と,スギ,ヒノキ,カモガヤ,ブタクサなどの花粉が原因抗原の季節性アレルギー性鼻炎があります。
喘息との合併が多く,鼻粘膜と気管支粘膜は病理組織学的に類似しており,気道を1つの臓器ととらえ,上・下気道のアレルギー炎症であるアレルギー性鼻炎と気管支喘息は1つの疾患群であるという概念が,2001年のAllergic Rhinitis and its Inpact on Asthma(ARIA)でone airway,one disease(鼻炎合併喘息)として提唱されました。アレルギー性鼻炎の喘息増悪への影響として,鼻閉による口呼吸・上気道炎症による喘息症状の誘発・骨髄への作用などが挙げられます。わが国では2009年に大規模全国実態調査「SACRAサーベイ」が施行され,喘息患者の67.3%にアレルギー性鼻炎が合併し,気管支喘息のない6000人の成人を9年間追跡し,鼻炎の存在が喘息発症のリスク因子であることが判明しました1)。
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