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頸部痛の研究[痛み探偵の事件簿(1) ]

No.4961 (2019年05月25日発行) P.36

須田万勢 (諏訪中央病院総合診療科/リウマチ膠原病内科,聖路加国際病院リウマチ膠原病センター)

登録日: 2019-05-24

最終更新日: 2019-05-23

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〈あらすじ〉ある日,渡村リウマチクリニックに一人の頸部痛患者がやってきた。渡村の的確な診断により患者は一定の改善を得るが,奇妙な頸部痛が残存する。そこに自称「痛みの私立探偵」写六がやってきて,事件は大きな展開を迎えることになる……。

〈本連載について〉
本連載では運動器や関節などに原因不明の痛みを訴える患者に対して,その原因を突き止め,治療するための方法論を解説します。エコー,触診,脈診,漢方,鍼灸,fasciaリリース…などなど,洋の東西を問わない総合的なアプローチから痛みの原因を探り,治療するための考え方を身につけていきましょう!

  

                  

私は渡村,2年前に開業した渡村リウマチクリニックの院長だ。一言にリウマチ,といっても私はヨーロッパスタイルで診療しているので,関節リウマチのような自己免疫疾患の他にも,外傷を伴わない痛みを幅広く診療しており,近所ではちょっとした評判を呼んでいる。今日はそんな私のケースファイルから奇妙な頸部痛の症例を紹介しようと思う。

その日,いつものように一人の新患がやってきた。85歳男性,亀背にT字杖,よれよれのポロシャツにふけのついたズボンという出で立ちだ。紳士の私にはやや刺激が強いが,断るわけにもいかない。

話をきくと,2日前の起床時から突然頸部痛が出て,寝返りするにも何をしても痛い,湿布を貼ってみたが痛みで眠れないとのことだ。お年の割に,既往歴は頑固な便秘と骨粗鬆症以外に特にない。性格も便秘に負けないくらい頑固そうだ。

ここまで病歴を聞けば鑑別はある程度絞れてくる。次に鑑別診断に優先順位(確率の優劣)をつける。優先順位のない鑑別診断はただの自己満足である。37.5℃の微熱もあり,頸椎の回旋時の痛みが一番強いということで,炎症性疾患,かつ頸椎(環軸椎)周囲に限局した問題であることが予想され,Common/Critical別に図のような順位づけをした。

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