重度脳性麻痺発症の原因分析を行う産科医療補償制度を運営する日本医療機能評価機構はこのほど「第9回再発防止に関する報告書」を公表した。これは、制度がスタートした2009年から18年9月末までに児・保護者と分娩機関に送付した原因分析報告書2113件を分析対象として取りまとめたもの。
今回の報告書では、脳性麻痺発症の主たる原因が明らかではない、または特定困難とされている事例が一定数あることから、これらの事例の背景や傾向を検討した。
2113件のうち、脳性麻痺発症の主たる原因が明らかではない、または特定困難とされている事例は876件(41.5%)。これをA群:妊娠期・分娩期の発症が推測される、B群:新生児期の発症が推測される、C群:脳性麻痺発症の原因は不明、D群:先天性要因の可能性または可能性が否定できない―に4分類し、分析した(図)。
その結果、急速遂娩実施なし、および出生時の児に酸血症、仮死がない事例であっても脳性麻痺を発症している事例が一定数あることがわかったという。
この結果を受けて報告書では、脳性麻痺発症の原因解明のための研究の促進を関係学会や国に求めた。