株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

胃癌補助化学療法の現況と展望

No.4963 (2019年06月08日発行) P.47

掛地吉弘 (神戸大学食道胃腸外科教授)

登録日: 2019-06-09

最終更新日: 2019-06-04

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【術後療法のエビデンスが確立してきており,術前療法が検証されている】

根治切除を行ったpStage Ⅱ・Ⅲの胃癌症例の術後補助化学療法は,S-1単剤の1年間内服1),もしくはカペシタビン+オキサリプラチン併用療法6カ月2)がわが国の標準治療になっている。2018年にpStage Ⅲの症例に対してS-1+ドセタキセル併用療法(JACCRO GC-07)の有用性が米国臨床腫瘍学会(ASCO)で報告され,今後標準療法になる可能性が高い。

一方で,胃癌に対する術前化学療法は標準治療が確立されていない。手術単独では予後不良な,高度リンパ節転移を伴う進行胃癌に対してS-1+シスプラチン併用療法の有効性が第2相試験(JC OG0405)で示されてきた。HER2陽性の高度リンパ節転移症例に対する,S-1+シスプラチン+トラスツズマブ併用療法の第2相試験(JCOG1301C)が行われている。大型3型・4型胃癌に対するS- 1+シスプラチン併用療法は,第3相試験(JCOG 0501)で有用性が示せなかった。高度リンパ節転移を伴わず,大型3型・4型でもないcT3-4/N1-3の局所進行胃癌における術前S-1+オキサリプラチン併用療法,術後S-1±ドセタキセル療法の周術期化学療法を検証する第3相試験(JCOG1509)が登録中である。

術前画像による正確なStage診断は難しく,術前化学療法の治療効果判定にも限界があり,今後の課題である。胃癌補助化学療法の検証が進み,進行胃癌のさらなる治療成績向上が期待される。

【文献】

1) Sakuramoto S, et al:N Engl J Med. 2007;357 (18):1810-20.

2) Bang YJ, et al:Lancet. 2012;379(9813):315-21.

【解説】

掛地吉弘 神戸大学食道胃腸外科教授

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top