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心臓血管外科領域におけるリスク評価の現状

No.4973 (2019年08月17日発行) P.55

大門雅広 (大阪医科大学外科学講座胸部外科学診療准教授)

勝間田敬弘 (大阪医科大学外科学講座胸部外科学教授)

登録日: 2019-08-16

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【手術成績を予測する方法】

心臓血管手術を行う上で,患者のリスク評価は重要である。患者の年齢,腎機能や呼吸機能,あるいは併存疾患の有無と心臓血管手術の成績の関係については多くの報告が存在する。今日,心臓血管手術の成績を客観的に予測する代表的なツールとしてSTS score,Euro SCORE,またはJapan SCOREが活用されている。

近年,手術成績に影響する新たな要素として,フレイルやサルコペニアといった概念が浸透しつつある。心臓血管外科領域においては2010年頃を境に注目されはじめ,特に低侵襲手術の適応を決定する上でフレイルの評価は有用であることが報告されている1)

フレイルは,筋力,栄養状態,移動能力など様々な尺度を単体あるいは複数併せて評価されることが多く,これまでにCHS Frailty score,Gait Speed,Katz index,FORECASTなど,約20通り以上の評価方法が考案されている。しかし,現時点でも高い質の研究が少なく2),心臓血管外科領域でのフレイル評価の意義,あるいは最も感度の高い評価の方法について一定の見解が得られていないのが現状である2)。今後,研究デザインが統一され,コンセンサスの得られる基準の作成が望まれる。

【文献】

1) Green P, et al:Am J Cardiol. 2015;116(2):264-9.

2) Graham A, et al:Anesth Analg. 2017;124(4): 1053-60.

【解説】

大門雅広*1,勝間田敬弘*2  大阪医科大学外科学講座胸部外科学 *1診療准教授  *2教授

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