【誰でも一定レベルの説明が可能に。操作の習得度の向上・治療効果にもつながる】
全国のどの医療スタッフが吸入指導をしても漏れが少なく一定レベル以上の内容を指導できることを目的に,筆者らは環境再生保全機構の協力のもと吸入指導DVDを作成した。
2015年にわが国で販売されている全種類の吸入薬の操作方法を「正しい吸入方法を身につけよう」と題した吸入指導DVDとポスターにまとめ,無料で全国に配布できるようにした1)〔問い合わせ先:独立行政法人環境再生保全機構(https://www.erca.go.jp/)〕。これは「喘息予防・管理ガイドライン2015」から記載されており,音声のみでなく文字の解説も挿入した。動画が見られる環境でなくても,ユーザーマニュアルで説明できるようにした。インターネットや電話で申し込むと,全国に無料で配布される。
このツールを導入することにより一定レベルの説明が可能となり,家族とともに自宅で繰り返し学習できることが吸入操作の習得度,ひいては治療効果につながることを筆者らは検証した2)。DVDを鑑賞し吸入操作がより正確に行われることによって,適正量の薬剤が気管内に到達し,抗炎症効果が得られたものと考える。どの施設でも一定レベルの吸入指導をすることが可能となり,非専門医や薬剤師の教育にも利用でき,有意義であると考える。
【文献】
1) 東田有智, 他:正しい吸入方法を身につけよう. 環境再生保全機構, 2015.
2) Takita K, et al:Allergol Int. 2017;66(4):545-9.
【解説】
堀口高彦*,近藤りえ子 藤田医科大学呼吸器内科学Ⅱ講座 *教授