【質問者】
井上耕一 桜橋渡辺病院心臓・血管センター不整脈科長
【タイプ1波形を確認。臨床的指標・心電図指標を考慮して電気生理学的検査を行う】
ブルガダ型心電図は一般人の0.3%にみられます。心電図自動診断でも指摘されるため,健診等で見つかる割合も増えてきています。一般健診では,症状がない人が主ですが,意識消失,失神といった症状の既往がある場合は,不整脈発作の可能性もあり,早めに不整脈専門医を受診して頂くことが必要です。ここでは,それ以外の無症状の人について説明します。
ブルガダ型心電図はコブド型のタイプ1とサドルバック型のタイプ2,3(非タイプ1)に分類され,タイプ1波形は非タイプ1よりも予後が悪いとされています。ブルガダ症候群の診断にはタイプ1波形の確認が必要であり,2013年の欧米のコンセンサスステートメントから,タイプ1波形の存在のみでブルガダ症候群と診断することとなりました。
非タイプ1波形では,ブルガダ症候群と診断するためにはナトリウムチャネル遮断薬負荷試験でタイプ1波形へ変化することが必要です。非タイプ1波形を有する無症候例では,心室細動発生率はきわめて低く,症状がなければ基本的には経過観察となります。ブルガダ心電図は通常のV1-2誘導位置(第4肋間)よりも上位肋間で記録されやすく,また日差変動があるため,記録部位を変えるなどして,時期をあけてタイプ1波形が出現しないかを確認する必要があります。
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