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患者中心の医療の方法〈コンテクストを探る〉─多種多様な患者背景を探る[プライマリ・ケアの理論と実践(37)]

No.4984 (2019年11月02日発行) P.10

佐野瑛子 (寿都町立寿都診療所副所長)

登録日: 2019-10-31

最終更新日: 2019-10-30

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SUMMARY
患者から語られる情報は,患者を取り巻くコンテクストによってその意味が変化する。そのため,患者1人ひとりの多種多様なコンテクストを含め,全人的に理解することが重要である。

KEYWORD
継続性
患者のコンテクストの理解のためには,患者との継続した外来を通して関係を深め,少しずつ情報を蓄積していくことが必要である。

佐野瑛子(寿都町立寿都診療所副所長)

PROFILE
北海道家庭医療学センターで家庭医療を学ぶ。現在は北海道の西部沿岸にある,寿都町立寿都診療所の副所長。日本プライマリケア・連合学会認定家庭医療専門医・指導医,日本内科学会認定内科医。

POLICY・座右の銘
一生懸命,楽しむ

1 全人的に理解するということ

全人的に患者を理解するとは,患者に関わる生物医学的要因,心理学的要因,社会学的要因のすべてを広く理解するという意味でもある。患者の疾患や「病い体験」を通して,生物医学面,心理面について情報収集していくのだが,患者の語る「病い体験」は患者を取り巻く環境によってその意味合いが変化しうる。家族やライフサイクル,仕事,患者の暮らす地域など,患者1人ひとりによって異なり,決して一様ではない。この患者を取り巻く環境とは,患者の社会面でもあり,患者中心の医療の方法におけるコンテクストと言い表すことができる。コンテクストを無視した診療を行うと,集めた情報の解釈や患者に勧める治療法の選択の間違いにつながってしまう。

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