SUMMARY
プライマリ・ケア医が行うエコーは「検査室で検査技師・専門医により十分な時間をかけて行われる精密検査のための超音波検査以外のすべて」を含み,時に特定の専門分野に特化し活用される場合も含む。そして,エコーを利活用するあらゆる人・活動へのサポートも含む。
KEYWORD
POC(point of care)
POCは1980年代に血液検査分野で初めて使用された。関連用語にPOC testing,POC systemなどがある。超音波分野ではUltrasound for point-of-care and general medicine,POC ultrasoundなどの用語がある。POC in the hospital,POC at homeと示す場合もある。現状のPOCはPoint-of-careではなくPoint-of-“cure”とする指摘もある。
PROFILE
2006年宮崎大学卒。2014年与那国町診療所(沖縄)管理者などを経て現職。総合診療医。2018年沖縄県町村会「地域医療従事者」受賞。著書に「みるミルできるポケットエコー」(共著・編集),「Fasciaリリースの基本と臨床」(共著・編集),など。人間同士のつながりを基軸にした地域ヘルスケア基盤の構築に勤しむ。
POLICY・座右の銘
沈みゆく船の上の甲板掃除
近年,プライマリ・ケア医によるエコー活用は進展している。背景(例:都市部,へき地・離島,など),場所(例:外来,病棟,在宅,など),目的(例:熱源検索,腹痛精査,救急初期対応,など),時間(急性期,慢性期,など)が多様な現場に適応した固有の進化を遂げてきた。そのため,プライマリ・ケア医が行うエコーの範囲には,「検査室で検査技師・専門医により十分な時間をかけて行われる精密検査のための超音波検査以外のすべて」が含まれ,時に特定の専門分野に特化し活用されるエコー活用も含まれる。
エコーは医療機器の発展も相まって,プライマリ・ケア医とその関連領域に必需な“仲間”としてさらに拡充している。なお,プライマリ・ケア医が行うエコーは,POC ultrasoundに留まらず,多職種に対する教育分野などの活用におよび,国内外で急速に増えている1)2)。