【質問者】
髙園貴弘 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床感染症学/長崎大学病院呼吸器内科
【NOはガス状生理活性物質で,様々な肺疾患での作用が知られる】
NOは生理的恒常性の維持に必須なガス生物学の幕明けとなった多彩な生物活性を有するガス状シグナル伝達分子です。基質であるL-アルギニンの神経型(neuronal NO synthase:nNOS),誘導型(inducible NO synthase:iNOS),内皮型(endothelial NO synthase:eNOS)の3つのNO合成酵素(NO synthase:NOS)によるL-シトルリンへの変換過程で合成され,産生されたNOが隣接部位に作用すると考えられます。nNOSは気道の神経や平滑筋に,eNOSは肺の血管内皮,気管支上皮,Ⅱ型肺胞上皮,鼻粘膜にそれぞれ恒常的に発現しており,線毛運動の制御にも関与しています。iNOSは肺胞マクロファージ,Ⅱ型肺胞上皮,肺線維芽細胞,血管平滑筋,気道平滑筋,気道上皮,マスト細胞,好中球,軟骨細胞に発現がみられ,肺胞マクロファージなどの貪食細胞の殺菌能に必要とされます。NOの研究では,NOを産生するNOSが3つあり相補的になることや,NOS阻害薬の非特異的作用などのため,しばしば相反する結果がみられ,解釈には慎重を要します。
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