【質問者】
加藤 将 北海道大学病院内科Ⅱ
【抗ARS(+)で寛解維持期の免疫抑制薬,抗MDA5(+)で寛解導入期の多剤併用免疫抑制治療が重要】
ILDは日本人PM/DMの50~70%程度で認められ,重要な予後不良因子のひとつです。PM/DMに伴うILDと強く関連する因子として抗アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl- tRNA synthetase:ARS)抗体と抗MDA5抗体が知られており,わが国ではPM/DM-ILDの68~85%がこのいずれかの抗体陽性例であることが報告されています1)2)。抗ARS抗体陽性のILDは慢性進行型で初期ステロイド治療に良好に反応するものの,長期経過で再燃・増悪を繰り返すタイプが多く,長期寛解維持が重要な治療目標となるケースが多いのに対し,抗MDA5抗体陽性のILDは急速進行型で初期治療に抵抗性で,発症6カ月以内に生命予後が決まるケースが多いことから,寛解導入療法が重要な課題となります1)。こうしたことから,PM/DM-ILDでは,まずこれらの抗体の有無をスクリーニングすることが大切です。
抗ARS抗体陽性例の治療は,ステロイドと免疫抑制薬の併用で生命予後や再燃・増悪イベント発生予後の改善が期待されます。プレドニゾロン(PSL)とカルシニューリン阻害薬(CNI)を併用しているほうが,PSL単剤よりも無増悪生存率がよい報告があり,寛解期も免疫抑制薬を継続することの利点が示唆されます3)。
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