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多発性筋炎/皮膚筋炎に合併する間質性肺炎の治療のポイントは?

No.4997 (2020年02月01日発行) P.48

加藤 将 (北海道大学病院内科Ⅱ)

中嶋 蘭 (京都大学大学院医学研究科臨床免疫学)

登録日: 2020-02-03

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  • 多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis:PM/dermatomyositis:DM)に合併する間質性肺炎(interstitial lung disease:ILD)の治療のポイント,特に免疫抑制薬の使い方や抗melanoma differentiation associated gene 5(MDA5)抗体陽性例に対する具体的な治療プロトコルについてご教示下さい。京都大学・中嶋 蘭先生に回答をお願いします。

    【質問者】

    加藤 将 北海道大学病院内科Ⅱ


    【回答】

    【抗ARS(+)で寛解維持期の免疫抑制薬,抗MDA5(+)で寛解導入期の多剤併用免疫抑制治療が重要】

    ILDは日本人PM/DMの50~70%程度で認められ,重要な予後不良因子のひとつです。PM/DMに伴うILDと強く関連する因子として抗アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl- tRNA synthetase:ARS)抗体と抗MDA5抗体が知られており,わが国ではPM/DM-ILDの68~85%がこのいずれかの抗体陽性例であることが報告されています1)2)。抗ARS抗体陽性のILDは慢性進行型で初期ステロイド治療に良好に反応するものの,長期経過で再燃・増悪を繰り返すタイプが多く,長期寛解維持が重要な治療目標となるケースが多いのに対し,抗MDA5抗体陽性のILDは急速進行型で初期治療に抵抗性で,発症6カ月以内に生命予後が決まるケースが多いことから,寛解導入療法が重要な課題となります1)。こうしたことから,PM/DM-ILDでは,まずこれらの抗体の有無をスクリーニングすることが大切です。

    抗ARS抗体陽性例の治療は,ステロイドと免疫抑制薬の併用で生命予後や再燃・増悪イベント発生予後の改善が期待されます。プレドニゾロン(PSL)とカルシニューリン阻害薬(CNI)を併用しているほうが,PSL単剤よりも無増悪生存率がよい報告があり,寛解期も免疫抑制薬を継続することの利点が示唆されます3)

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