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顕微鏡的多発血管炎(MPA)[私の治療]

No.4999 (2020年02月15日発行) P.43

亀田秀人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野教授)

登録日: 2020-02-17

最終更新日: 2020-02-12

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  • 顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)は,主に毛細血管,細静脈や細動脈といった小血管に生じる,免疫沈着物をまったくあるいはほとんど認めない壊死性血管炎で,肉芽腫性炎症は認めない。わが国の患者数は2017年度の報告で8669人とされており,過半数が75歳以上であった。好発年齢も65歳以上で,男女比はほぼ1:1である。日本人では90%以上の患者でミエロペルオキシダーゼ-抗好中球細胞質抗体(myeloperoxidase-anti-neutrophil cytoplasmic antibody:MPO-ANCA)が陽性となる。

    ▶診断のポイント

    厚生労働省特定疾患難治性血管炎班の基準に基づいて,他の疾患を十分に鑑別した上で診断する。

    (1)主要症候:①急速進行性糸球体腎炎,②肺出血もしくは間質性肺炎,③腎・肺以外の臓器症状(紫斑,皮下出血,消化管出血,多発性単神経炎など)
    (2)主要組織所見:細動脈・毛細血管・後毛細血管細静脈の壊死,血管周囲の炎症性細胞浸潤
    (3)主要検査所見:①MPO-ANCA陽性,②CRP陽性,③蛋白尿・血尿,BUN,血清クレアチニン値の上昇,④胸部X線所見〔浸潤陰影(肺胞出血),間質性肺炎〕
    (4)判定:①確実(definite)(主要症候の2項目以上を満たし,主要組織所見が陽性の例,主要症候の①および②を含め2項目以上を満たし,MPO-ANCAが陽性の例),②疑い(probable)(主要症候の3項目を満たす例,主要症候の1項目とMPO-ANCA陽性の例)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    主要臓器障害,多臓器障害の有無と活動性の高さ(臓器障害の進行速度,全身症状や血液検査所見も参考になる)により重症度を決定し,重症度および合併症を勘案して副腎皮質ステロイドの投与量,併用する免疫抑制薬の種類や投与量,生物学的製剤(リツキシマブ)の要否などを決定する。

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