【食後高血糖に対し有効。内服薬でコントロールできる時代が到来した】
ステロイド糖尿病(DM)の治療はインスリンの使用がスタンダードであったが1),「高齢者糖尿病治療ガイド2018」では,少量のステロイドであれば内服薬で管理できることも多く,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI),dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬,速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬),glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬などの投与が有効なことが多いと記載された2)。
筆者らもα-GI,グリニド薬併用のステロイドDMの食後高血糖に対する有効性を報告した3)。食後高血糖ではHbA1cが上昇せず3),早期発見に1,5-アンヒドログルシトールの測定が有効である4)。筆者らはさらにスルホニルウレア(SU)薬で朝の低血糖を起こし,良好な血糖コントロールを得られなかったが,DPP-4阻害薬であるアログリプチンの使用で低血糖を起こさず良好なコントロールを得たステロイド使用中の関節リウマチ患者を報告した5)。当時DPP-4阻害薬はグリニド薬との併用は認められていなかったが,その後α-GI,グリニド薬,DPP-4阻害薬の3剤併用が可能になり,より良好なコントロールが期待される6)。
ステロイドDMを内服薬でコントロールできる時代が到来したと言えるかもしれない。
【文献】
1) 日本糖尿病学会, 編:糖尿病診療ガイドライン2016. 南江堂, 2016, p125.
2) 日本糖尿病学会, 他, 編:高齢者糖尿病治療ガイド2018. 文光堂, 2018, p65.
3) Ito S, et al:Mod Rheumatol. 2014;24(1):52-9.
4) 伊藤 聡, 他:新薬と臨. 2018;67(7):824-32.
5) 技術情報協会, 編:副作用軽減化 新薬開発. 技術情報協会, 2012, p443-4.
6) 伊藤 聡:Mod Physician. 2016;36(10):1126.
【解説】
伊藤 聡 新潟県立リウマチセンター副院長