【質問者】
田巻弘道 聖路加国際病院リウマチ膠原病センター医長
【処方時に初期症状について説明。過敏症の高リスク群では初回投与時から漸増療法も考慮】
スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)合剤は,ニューモシスチス肺炎の予防において,代替薬のペンタミジン(肺外の予防効果も少ない)やアトバコン(重症例でのデータが十分ではない)より信頼性が高く経済的で,グラム陽性球菌による血流感染のリスクを下げるという利点があります1)。ただし,そこには接頭語がつき,「“過敏症に注意が必要な”ニューモシスチス肺炎の予防薬として」となります。
市販後調査によると,副作用として表1のような症状が報告されており,発現率は10.58%となっています。全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)では,過敏症が病態の増悪を誘発することもあります2)。過敏症への対処の基本は,薬剤の中止です。「当たり前を当たり前にする処方時からの工夫」が何より大切です。
早期発見・早期内服中止を目指します。そのためにも,ST合剤を開始するときの説明が肝となります。メリットを強調しつつ,「過敏症を示唆する変化があれば内服を中止して,処方医へ連絡すること」も付け加えると,安心につながります。具体的には,①症状(発熱,皮疹,倦怠感,下痢があれば内服を中止する),②注意すべきタイミング(4型アレルギーは,内服開始直後は問題がなくても処方から4~21日前後に遅れて生じることがある),③緊急に医療機関を受診すべき状況,を説明します。
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