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横隔膜ヘルニア[私の治療]

No.5021 (2020年07月18日発行) P.43

平松康輔 (虎の門病院消化器外科下部消化管)

黒柳洋弥 (虎の門病院消化器外科下部消化管部長・副院長)

登録日: 2020-07-20

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  • 横隔膜の裂隙を通じて腹腔内の臓器が縦郭,胸腔内へ脱出する疾患の総称を横隔膜ヘルニア(diaphragmatic hernia)という。先天性のものは脱出する部位により分類され,胸肋三角の右側から脱出するMorgagni孔ヘルニア,左側から脱出するLarrey孔ヘルニア,腰肋三角から脱出するBochdalek孔ヘルニアに分類される。後天性のものとして,食道裂孔ヘルニア,外傷による損傷部からの外傷性横隔膜ヘルニアが挙げられる。食道裂孔ヘルニアについては別稿に譲るとし,本稿では先天性横隔膜ヘルニアについて述べる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    新生児期に先天性横隔膜ヘルニアを発症する場合,脱出した臓器による肺の圧迫や,合併する肺低形成,新生児遷延性肺高血圧症の併発によりチアノーゼ,呼吸促迫,無呼吸を認める。無症状で,X線検査などから偶然発見される場合もある。

    【検査所見】

    先天性横隔膜ヘルニアは,近年7割以上が出生前に診断されており1),胎児エコー検査で腸管,胃,肝臓など横隔膜下の臓器が胸腔内に脱出しているのが確認される。また,心臓が健側へと偏位していることが診断の手がかりとなる。そして胎児MRI検査も診断に有用である。

    出生後は,胸部X線やCT検査で胸腔内に腸管のガス像が確認されることで診断確定に至る。

    ▶私の治療方針

    新生児期に診断がついた時点で,外科的手術の適応である。手術時期について,以前は緊急手術が必要と考えられていたが,現在は患児の全身状態が比較的安定したところ(出生数日~1週間程度)で手術を行うことも選択肢となってきた。全身状態や検査所見を総合的に判断し,手術時期を決定する。

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