非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP)は,組織学的に他の特発性間質性肺炎(IIPs)に分類できない間質性肺炎が存在することを背景に,1994年にKatzensteinらが提唱した臨床病理学的疾患概念である。線維化性(fibrotic)NSIP(fNSIP)と細胞浸潤性(cellular)NSIP(cNSIP)に分類され,予後と関連する1)2)。
特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)は1983年にDavidsonらにより,bronchiolitis obliterans organizing pneumonia(BOOP)は1985年にEplerらにより提唱されたが,2002年の米国胸部疾患学会と欧州呼吸器学会の共同声明において,COPを用いることとなった。
平均50歳前後で,非喫煙者が多く,咳嗽,労作時呼吸困難を主症状とする。発症から診断までの期間は約半年である。関節痛,Raynaud現象,皮疹,筋肉痛など膠原病様の症状を呈することも少なくない。聴診では大部分の症例においてfine cracklesを聴取する。血清LDHやKL-6,SP-D,SP-Aは病勢推移のマーカーとして有用である。抗核抗体やリウマトイド因子など,自己抗体が検出されることが多い。肺機能検査では,%VC,%DLcoが低下し拘束性障害を呈する。胸部X線写真,HRCT像の特徴は,両側下肺野背側末梢優位のすりガラス影,浸潤影,網状影である。BAL液中のリンパ球比率が上昇する。確定診断には組織学的診断が必要である。
平均50歳前後で,非喫煙者が多く,咳嗽,息切れ,発熱,倦怠感を主症状とする。発症から診断までの期間は通常3カ月未満である。ばち指は認めず,fine cracklesを聴取することもわずかである。血清KL-6は上昇しないことが多い。肺機能検査では拘束性障害を認める。膠原病の合併や薬剤の使用に注意する。胸部X線写真,HRCTは,両側性または一側性の浸潤影を呈する。BAL液中のリンパ球比率が上昇する。組織学的に気腔内器質化病変を認めれば,診断は確定する。
NSIPは,特発性肺線維症(IPF)より一般に予後は良好である。特にcNSIPは,ステロイド単独治療によく反応し,死亡例はない。fNSIPの中には,IPFと同じように予後の悪い重症例もあるため,ステロイド単独で治療反応性が悪い場合は,免疫抑制薬の併用を考慮する。治療に抵抗性である場合は,IPFと同様の経過をとることを考慮した患者への説明や,抗線維化薬の使用を考慮する。薬剤による治療が無効である場合には,早期に肺移植について検討する。急性増悪時の治療は,IPFの急性増悪の治療に準じる。
ステロイド治療によく反応するが,漸減中止後再発することがある。再発してもステロイドによく反応するため,他の間質性肺炎と比較して予後良好である。
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