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十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療法選択に関して

No.5031 (2020年09月26日発行) P.50

八田和久  (東北大学病院消化器内科)

土肥 統  (京都府立医科大学消化器内科学)

登録日: 2020-09-28

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  • 十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療に関して,治療法の選択基準(治療するかしないかも含め),治療後の対応(潰瘍閉鎖法など)をご教示下さい。京都府立医科大学・土肥 統先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    八田和久 東北大学病院消化器内科


    【回答】

     【腫瘍径≦20mmはUEMR>EMR,>20mmはESD。術後潰瘍縫縮は必要不可欠である】

    表在型非乳頭部上皮性腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumor:SNADET)である腺腫と腺がんの治療についてお答えします。SNADETは外科治療例が少なく,正確なリンパ節転移率が明らかになっていないため,十二指腸癌単独の取り扱い規約や治療ガイドラインがありません。しかし,粘膜内がんのリンパ節転移率はきわめて低く,これらは基本的に内視鏡治療でよいと考えます。一方,わが国の施設による後向き検討では粘膜下層浸潤がんのリンパ節転移率は10%と報告されています1)ので,リンパ節郭清を含めた外科手術が標準治療と考えます。

    腺腫を治療すべきかどうか,いまだに議論されていますが,そもそも術前の生検病理診断と術後病理診断の一致率が68%1)と報告されていることに加え,SNADETの大きさ別担がん率は,腫瘍径<6mmで35.7%,≧6mmで73.4%と報告されている1)ので,小さくてもがんの割合が高く,腺腫と診断しても内視鏡治療の適応と考えます。

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