【質問者】
下田 良 佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部
【POEMの適応はアカラシアおよびその類縁疾患。内視鏡,食道造影,高解像度食道内圧検査,CTによるアカラシアの評価に加え,全身麻酔のリスク評価を行う】
食道アカラシア(以下,アカラシア)は,下部食道括約部(lower esophageal sphincter:LES)の弛緩不全および食道体部の蠕動運動の障害をきたす原因不明の疾患です1)。LESの狭窄により水分や食物の通過障害,嘔吐,それに伴う肺炎,睡眠障害,体重減少などの症状をきたすため,患者の生活の質は著しく低下します。薬物療法による治療効果は乏しく,医療機関を受診するほどのアカラシア患者に対しては,バルーン拡張術,Heller-Dor手術,POEMが治療の選択肢となります2)~4)。POEMは2010年に井上らによって報告されたアカラシアに対する標準治療のひとつですが,有効性,安全性,恒久性,そして低侵襲性においてバランスのとれた治療法であるため患者の受け入れも良好です。
POEMの適応は,アカラシアおよびその類縁疾患となります5)~7)。術前の検査として,上部消化管内視鏡検査(以下,内視鏡),食道造影,CT,高解像度食道内圧検査(high resolution manometry:HRM)を行います5)。
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