栄養に関する我が国唯一の包括的なガイドラインである厚労省の「日本人の食事摂取基準」。かつての「栄養所要量」を食事摂取基準として2005年に大きく改定した際や、その後の改定で中心的な役割を担ったのが佐々木さんだ。
「医療者の研究者は病気を中心に栄養をみている人がほとんど。栄養と循環器疾患、栄養と癌を研究したり、栄養と骨疾患に関する論文を書くなど、日本では珍しく栄養から種々の病気を研究していたため、声が掛かりました。『ここで“開国”しないと世界から取り残される』と、名称も変えました」
日本では栄養の講座がある医学部がきわめて少なく、研究や教育が進まなかったのが現状だ。佐々木さんはベルギーに留学中、日本食と健康の関係に興味を持った海外の学者から論文を求められても、紹介できる研究が日本にないことに気づき、愕然とした。そこで日本の食と健康を研究すべく、欧米での就職を勧める恩師の制止を振り切って帰国した。
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