No.5049 (2021年01月30日発行) P.14
山内優輔 (みんなのクリニック)
登録日: 2021-01-28
最終更新日: 2021-01-27
SUMMARY
生活習慣病などの慢性疾患を抱える患者のケアにおいて,継続的な関わりは重要である。医療者が健康信念モデルを意識した診療を行うことは,患者の継続した健康行動につなげるための助けとなる。
KEYWORD
健康信念モデル
健康問題から生じる脅威,行動を起こすことの有益性と障害のバランスに焦点を当てた,健康行動理論の1つ。この2つがうまく満たされることで,人が健康に良いとされる行動をとる可能性が高くなる。
PROFILE
2013年に愛媛大学を卒業。岡山家庭医療センター/津山中央病院にて家庭医療後期研修を修了後に家庭医療専門医・指導医を取得。2020年4月からみんなのクリニック(岡山県真庭市)に勤務。
POLICY・座右の銘
No rain, no rainbow
生活習慣病は,健康寿命の阻害要因となるだけでなく,国民医療費にも大きな影響を与えている。代表的な生活習慣病である糖尿病において,平成29年国民健康・栄養調査によれば,強く疑われる者の割合は,男性18.1%,女性10.5%であり,死亡数は年間1万3969人,年間医療費は1兆2239億円と言われている。
そのような慢性疾患において,薬剤による治療だけでなく,健康に良いとされる行動を促すためにも継続的な関わりは重要となる。しかし健康に関する行動の変容と継続のためには,様々な要因が絡んでおり,容易ではないことは言うまでもない。
CASE:55歳男性。糖尿病で通院していたが自己中断した患者が突然受診。
このように自己中断で通院が途切れたが,突然受診する患者もいる。なぜ患者はこのような行動をとるのだろうか。そして,私たちはどのように患者と関わることができるだろうか。その1つとして「健康信念モデル」をもとに今回は考えていく。