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大腸内視鏡検査時の鎮痙薬投与の可否と薬剤の使いわけ,投与法の工夫について

No.5056 (2021年03月20日発行) P.42

堀田欣一 (静岡県立静岡がんセンター内視鏡科副部長)

玉井尚人 (東京慈恵会医科大学内視鏡医学講座講師)

登録日: 2021-03-23

最終更新日: 2021-03-17

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  • 大腸内視鏡検査の際に,ルーチンに鎮痙薬を投与するべきですか? また,薬剤の使いわけや,投与法の工夫はありますか?
    東京慈恵会医科大学・玉井尚人先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    堀田欣一 静岡県立静岡がんセンター内視鏡科副部長


    【回答】

     【大腸内視鏡における鎮痙薬はリスクとベネフィットを考慮して使用する】

    大腸内視鏡検査時の鎮痙薬使用において期待されるベネフィットとして,回盲部到達率の向上や,挿入時間の短縮,大腸病変検出能の向上等が挙げられますが,現時点でこれらに対するエビデンスは一定の見解が得られていません。しかし,実臨床での経験に基づくと,軸保持短縮法での挿入や病変検出において鎮痙薬が果たす役割は大きいものと考えます。鎮痙薬に関するエビデンスと実臨床での印象の乖離は,鎮痙薬の有用性に関する報告の多くが海外からなされていることに起因すると考えています。

    大腸内視鏡検査時の鎮痙薬の使用にあたっては,リスク回避に十分な配慮が求められます。わが国の大腸内視鏡検査における鎮痙薬として抗コリン薬とグルカゴン製剤が挙げられ,両薬剤ともに,リスク回避の観点から被検者背景の十分な聴取は必要不可欠です。鎮痙薬の使用による偶発症は,不整脈・ショック・皮疹・血圧上昇など,用量非依存的に出現することが多く,これらの症状が出現した際に速やかに対応ができるよう,心電図・血圧測定などのモニタリングを行うことが必須です。

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