株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

胃癌手術・化学療法[私の治療]

No.5059 (2021年04月10日発行) P.42

佐野 武 (がん研究会有明病院病院長)

登録日: 2021-04-13

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 胃癌は胃粘膜から発生する悪性腫瘍で,ほとんどが腺癌である。ヘリコバクター・ピロリ(HP)感染による慢性炎症が主因とされ,東アジアに多いが,HP感染の減少に伴い世界的に発生が減少している。欧米を中心に,食道・胃接合部の腺癌発生が増加している。

    ▶診断のポイント

    早期胃癌では,病変内にしばしば消化性潰瘍を生じて空腹時心窩部痛を呈するので,これを見逃さないよう内視鏡検査を行う。胃壁内のがん深達度(T)が治療法選択に重要であり,内視鏡,超音波内視鏡,CTなどを総合してこれを診断する。術前のリンパ節転移診断は精度が低い。転移診断はCTが中心であり,FDG-PET検査の感度は高くない。進行癌の腹膜転移診断には審査腹腔鏡が有用である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    根治をめざす胃癌治療の基本は,適切な範囲の胃の切除とリンパ節郭清である。D2リンパ節郭清を伴う2/3以上の胃切除を「定型手術」と呼び,術前診断に応じてこれを縮小または拡大する。胃を切除すると多くの患者で栄養状態および生活の質が落ちるため,無駄な切除はできるだけ避けるよう計画する。転移の確率が低く根治の可能性の高い早期癌(T1)では,内視鏡的粘膜切除(ER)を含む切除の縮小と胃機能の温存をめざす。逆に局所進行癌では,化学療法との組み合わせを考慮して手術の計画をたてる。切除不能の転移を有する場合は,持続する出血や通過障害がない限り,胃を切除せずに化学療法を行う。非治癒となる胃切除は,これらの症状に対する姑息的切除にとどめる。

    残り1,702文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top